マチュピチュの遺跡
インカの昔、なぜあんな過酷な場所に空中都市と呼ばれる文明を築けたか、そして現代までそれが形を留めたか・・・それはマチュピチュに人々が、自然と溶け合う街創りをしたからだそうです。例えば、普通に考えれば家を建てるにはまず土地の凸凹を無くし更地にしてからきちんと図面通りに加工した木や石を組み上げていくのが順当な仕事だろう。でもマチュピチュの人たちは、元々ある地形を受け入れ、岩場の傾斜は上に積み上げる石の形を微妙に調整しながらその歪みを無くしていくような造り方をしているそうです。だから遠目にはきちんと直角に切り出した石をまっすぐに積み上げている様に見える建造物の一個一個の石を計測すると、実は微妙な歪みがあるのだそうです。私がもっと驚いたのは、岩盤に出来た裂け目を、綺麗にその裂け目にピッタリはまる様に表面を削った石のかけらをはめ込んで修復しているその技術に高さです。今のように目地など無い時代、その不規則に曲がった亀裂に少しでも近い形の石を探しては周囲を削ってはめ込む作業は、周囲の状況を受け入れそれをいかに無理の無い形で連続させていくかにかかっているのです。建造物の石はだだ積み上げられているだけで接着はされてないのけれど重力と微妙な歪みの繰り返しによって生み出された絶妙なバランスによってずっしりと大地に腰をおろしているので、風水害や地震にも耐え抜き現在にその姿を残してくれたのです。マチュピチュの人々のDNAには、この世のすべてと向き合い寄り添う事の大切さが初めから刻印されていたのかも知れないと思えてなりません。