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統合方針の決定
ドットコモディティは、3月19日(水)開催の取締役会において、楽天証券と7月1日(火)に統合する方針を決定しました。この旨は、両社とも会社のサイトにて開示をしています。 今回の「車田のつぶやき」では、この楽天証券との統合の背景について書きます。 楽天証券 楽天証券は、ドットコモディティに97%の出資を行っている楽天グループの証券会社です。「マーケットスピード」という人気の高いトレーディングツールを提供しているネット専業の証券会社で、現物株、投資信託から日経225、FX(外国為替証拠金取引)などに至る幅広い金融商品を提供しています。 楽天証券においては、2010年から海外のデリバティブについて証券・金融のデリバティブとコモディティのデリバティブをともに提供しています。このため、海外のコモディティのデリバティブを規制対象に追加する改正商先法が施行された2011年1月には、それまでに取得している金商法に基づく金商業者の登録に加えて、商先法に基づく商先業者の許可を取得しています。 証券・金融とコモディティの複合取引のニーズ プロップ(自己取引を行う会社)などの法人において、日経225などの日本取引所グループが上場するデリバティブやFXといった証券・金融のデリバティブと、金などの東京商品取引所が上場するコモディティのデリバティブとを複合的に取引したいとのニーズが近年高まっています。このようなニーズは、日本の個人投資家においても、今後高まってくるものです。 複合取引における利便性 証券・金融とコモディティの双方のデリバティブを複合的に取引する場合には、それぞれの取引に必要な証拠金(取引を開始または維持するために預けることが必要となる資金)を、振替の指示によって即座に資金移動をすることが、顧客の利便性において重要です。 異なる会社での取引 異なる会社において、一方で証券・金融のデリバティブ、他方でコモディティのデリバティブを取引する場合には、証拠金が一方で不足し、他方で余剰がある場合、顧客は、余剰がある会社から自分の銀行口座に出金をして、その上で不足がある会社に送金をすることが必要になります。これには、出金指示、銀行口座への入金を確認した上での送金指示との手間がかかり、通常は送金に費用がかかります。 即座の資金移動の必要性 特に問題となるのが、時間がかかることです。ドットコモディティの場合、行っている取引に含み損が発生して追加の証拠金が具体的にいくら必要となるかが確定するのは15:30です。そして、取引を維持するためにはこの確定した金額を翌営業日の朝までに入金する必要があります。これに対して、出金の指示をして、実際に銀行口座に入金されるのは、これが15:30以降の出金指示の場合は翌営業日ではなく翌々営業日となります。従いまして、一方の取引に証拠金の余剰があっても、別の取引について期限内に証拠金を入金することに間に合いません。 このため、取引する会社が異なる場合には、銀行口座に常に余剰の資金を寝かしておくことが必要になります。これに伴う資金効率の悪化は、限られた自己資金でできるだけ多くの取引を行って収益をあげようとするプロップにとっては切実な問題です。 1社での複合取引の提供 統合により1社で証券・金融のデリバティブとコモディティのデリバティブとを提供する場合には、会社においてシステムの整備うことによって、顧客は1回の振替指示によって即座に資金移動ができます。当然のこと費用もかかりません。 さらに将来的には、「マーケットスピード」といった同一のトレーディングツールによって、証券・金融のデリバティブとコモディティのデリバティブとのネット取引のサービスを提供することも可能になります。この場合には、異なったトレーディングツールを立上げてその画面を切換えて取引をする手間がなくなりますし、複数の取引の状況を一覧に表示して把握することもできるようになります。 ドットコモディティと楽天証券 ドットコモディティはコモディティのデリバティブ、楽天証券は現物株というように、主たる顧客基盤が異なっています。このため、提供するサービスに重なりが増えてはいましたが、それぞれの持味を生かしてサービスを続けてきました。その上で、同じ楽天グループの会社ですので、参加者が多い楽天証券のセミナーでドットコモディティのPRを行う、ドットコモディティが開発した貴金属積立サービスのシステムを楽天証券に提供して多数の顧客を得るといった密接な提携関係を構築してきました。 統合の選択 振替指示での資金移動を可能とする形で、証券・金融とコモディティの双方のデリバティブの複合取引についてサービスを提供するには、異なる規制への対応というコンプライアンス費用(具体的には人件費)と、これを可能にするためのシステム構築の費用がかかります。 一方、東商取が99%を占める国内商品市場の取引高は、2013年度下半期に84千枚/日とピークの2003年度の636千枚/日の1/8に縮小し、残念ながら回復の見込みがありません。 このような最近の市場環境の変化を受けて、楽天グループにおいてこの複合取引の提供を行う際の効率的なあり方について両社において検討した結果、統合との判断に至ったのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.03.20 22:36:26
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