ケバ顔
この間の結婚式で、ゴロウに久しぶりにあった。あったとたん「あ、黒革の手帳」とゴロウはつぶやいた。ゴロウの意味するところは、ケバイと言いたいのだ(笑)そんなこと言われたって、もう別に慣れっこなので、そんなシチュエーションを楽しんだりする。「最近、お店に寄ってくださらないじゃないの~」なんてね。6年前、私は銀座で働いていた。新橋で電車を降り、7丁目まで歩いて出勤していた。黒革の手帳に出てくるウォータービルは、会社の真裏にあり、昔はもっとなんだかケバケバで、ミズミズしい、光を放っていた。私が仕事を終えて帰る頃には、たくさんのお姉様方が、ご出勤で、私はみんなの流れとは逆に新橋に向かっていたものだ。もちろん、帰り道にはたくさんのスカウトが立っていた。えらく男前のスカウトもいたし、声はかけられなかったけれど、きっとホストのおにいちゃんもいただろう。そう、私は一度もスカウトに声をかけられたことがない。岡山の田舎から出てきたコムスメなんぞ、見向きもされなかったのだ。いくら水商売の顔をしているからといって、全く気が付かない私。絶対に向いてないとわかっていたので、興味なんてさらさらなかったのだが、一度くらい、声かけられてもよかったのに……(笑)どんな顔をしていようと、私は私。着物だって、ヒョウ柄だって、好きな物は好きなんだい!