私と猫と編み日記-幸せな女と思われたい-

歯磨きが大好きです。
一日に少なくても5回は磨きます。
隙さえあらば磨きます。
友達に女じゃないと言われても
親の敵のようにガシガシ磨きます。

歯磨きに伴い、歯磨き粉も大好きです。
外国へ行ったとき、
とにかく血眼になって、歯磨き粉を探します。
外人にも、変な顔をされながら、大量購入をします。

ＮＹから帰る時、荷物が重量オーバーになったのも
間違いなく、歯磨き粉の買いすぎでした。
「荷物を分けなさい」と空港の人に言われ
ブーブーブーブー文句言いながら、
スーツケースを開けたら
歯磨き粉があふれ出して
そのときの（予想）ニューヨーカーの顔ったらなかった。
もう、人間を見る目じゃなかった。

ＮＹ：「こんなに一体何に使うんだ！？」
私：「何に使うって、歯磨きに決まってるでしょ！？」

なんつー意味不明な会話をしました。
多分、彼は友達に
「日本には、歯磨き粉が売ってないらしいぜ」って言いふらしてることでしょう。

いや、今日も元気にニコニコ歯磨きをしてて
あれ、最近、銀の歯が取れちゃった子がいたんじゃないかなーって思い出して。
何ヶ月か前にミルキー（はママの味）を一生懸命食べてたら
ミルキーの魅力に取り付かれて、ミルキー側にくっついちゃった子いたなーって。
で、それを姉に言ったら
「瞬間接着剤」でくっつけてくれたことがあったんじゃないかなーって。
（得意気に友達に言ったら、女じゃないって顔されましたけど）

多分、その子だと思うの。
瞬間接着剤と仲たがいがあったのか
ポロってね。
また取れちゃったんですよ。
ヤッテラレネーよ。って。
やっぱ、俺、ミルキーが忘れられないんだよ・・・・・って。

で、すっかり忘れ（た振りし）てて。

やっぱ、歯医者行かなきゃなーって。

歯磨きは好きだけど、歯医者はなーって。
触られたくない歯達がいたんじゃないかなーって。
そのために、歯磨きを気が触れたようにしてたんじゃないかなーって。

もう7年前ほどになると思うんだけども、

当時私は三軒茶屋で一人暮らしをしていて、
その日は休日で、
夕方になって、友達から一本の電話が入り
「これから、飲みに行こうよ」って。

もちろん、食いつきました。
軽快に自転車をすっとばして、飲みに行った。

飲み会が終わって
外に出たら、うっすら雨が降っていた。
私は、酒が入っていい気分にもなってるし、夏だったし
すっずしーなんつって、上機嫌だった。
友達と別れて、帰路に着いた。
帰って寝るだけと思った。
鼻歌歌いながら、自転車漕いだ。

到着ーー。

って思った瞬間。
景色が変わった。
つうか、天地が逆転。

私は、側溝に自転車ごと突っ込んでいた。

何がなんだか分からないまま
とにかく、起き上がった。
とりあえず、生きてるなって事を確認してほっと一息した瞬間
口の辺りの様子がおかしい。
触れてみた瞬間、青ざめた。
血だらけだった。
血がポタポタとアスファルトに落ちた。
傷を押さた瞬間、手のひらに何かが落ちた。

前歯だ・・・・・・。
しかも、これ、何個？

大泣きしました。
もうね、痛いとかじゃないんですよ。
それよりも、前歯の事なんですよ。
前歯がなかったらお嫁に行けない！（そこの人！前歯の問題じゃないとか思わない）とか
前歯がなかったらドリフになっちゃう！とか
前歯がなかったら話せない！とか。

泣きながら、緊急病院に行きました。
血だらけで。
徒歩で。

看護婦、びっくりですよ。
びっくりしながら、目が笑ってたのを私は見逃さなかった。

とりあえず、傷は大したことないから
明日、歯医者に行きなさいって言われて
泣きながら、徒歩で帰宅。

ベットに蹲って、泣きながら寝ました。

朝起きて、自分の顔を二度見した。

どこのアヒルさんですか？って。
私、アヒル飼ってなかったけどなーって。

もうね、すごいんですよ。
大したことないって言われた傷。
顔がね、倍くらいになったんじゃないかっつーくらい腫れてた。

とりあえず、姉が心配して、家まで来てくれたんだけど
私の顔を見た瞬間
驚きながら、目が笑ってたのを私は見逃さなかった。

姉に連れられて、歯医者に行った。
帽子被って、マスクして。
もうね、変質者って言われても否定できない格好だった。

歯医者で「どうしました～？」って言われて
マスクを取った瞬間、引いてた。
何があったんですか！？って言いながら
目が笑ってたのを私は見逃さなかった。

何ヶ月、歯医者に通ったか分からない。
そして、そのうちの半分以上が前歯のない生活だった。

私は、自分の折れた前歯をテーブルの上において
見つめながら、よく泣いた。

その当時、接客業をしていた私は
当然、事務所に回された。

その時、私がよく掛けられた言葉は

「かわいそうだけど、面白い」

前歯のない私を心配してくれて
友達は、お昼にウドンを食べに行こうと誘ってくれた。
私も、ウドンならって付いて行った。

でもね、ウドンって前歯が必要だよ。って。
あんね、ウドン、切れないの。ね。
一気に吸い込まなきゃ行けない。
結構、体力が必要だなーって。
肺活量が物言う世界だなーって。

ようやく前歯（偽）を手に入れたわたしは
異常なまでに、綺麗な歯並びになった。

父は私の新しい歯を見て
「まあよかったな」って言ってたのに
私が帰った後
「麻実の歯は変だな・・・・」と
母に言っていたと言う。

姉は、私が笑うと
「さんまっぽいね」と言った。

それでも、私は、前歯がなかったときに比べれば
満足している。
この前歯を二度と手放すか！と誓った。
誰にも触られるまいと誓った。（だから男ができないんだよーとか言わないの）

だけど、ミルキーに浮気した私の銀歯のおかげで
近々、歯医者に行かなければ行けないだろう。

人は、歯医者なんだから、
前歯を壊したりしないわよって笑う。

そんなことを考えながら
私は、近所の歯医者の前をウロウロしている。

街で、異常に綺麗な歯並びで
笑うとサンマのような歯をしている女を見かけたとき
それは私だっ！！！