私と猫と編み日記-幸せな女と思われたい-

10代の頃は、なんでも良かった。
酒を飲むって事にドキドキしていた。
自分が大人の仲間入りをしたようで
その雰囲気がうれしかった。

味なんかよく分からなくて
自分の量も分からなくて
今以上の酷い失敗を重ねた。

今、思い出しただけで
顔を赤らめてしまうほどの失敗も
３回に１回はあった。

20代の前半になると、
自分の飲める量が分かりかけてきて、
好みも出てきた。
だけど、今以上にお金がなかった。
質より量の時代だった。
失敗は、５回に1回ほどに減った。

20代も半ばに差し掛かる頃、
突然ある日、焼酎が飲めなくなった。
喉を通らないというわけではないのだけど
飲んでる側から、頭が痛くなる。
その後、2日ほど、酒の抜けない状態が続く。

焼酎にそれほど愛着がなかったのだと思う。
私は、あっさり焼酎を封印した。
その頃には、失敗は６回に1回になっていた。

さて、焼酎が飲めなくなった頃、
私はワインを覚えた。
なんと、ワインは健康にもいいらしい
なんて言われて有頂天だった。
白から赤に好みが変わり、
最近では、スパークリングワインにも手を染め
気分のいい時はシャンパンなんかも飲んだ。

最近では、失敗は８回に1回になっている。

美味しかった。
楽しかった。
ワインを飲むと贅沢な気持ちになれる。

ところが、どうも最近様子がおかしい。
薄々は気がついてたけど
知らないふりをしていた。

ワインを飲むと、（特に安いの）
飲んでる側から頭が痛くなる。
その後、2日とまでは行かないが、
36時間くらいは、二日酔いの状態が続く。

これって、何処かで経験したことあるんじゃないかなーって思って。
何年か前に駄目になった焼酎のときと同じなんじゃないかなーって。

でも、私は焼酎のときのように
諦めることが出来なかった。
徹底的に気が付かない振りをした。
騙し騙し、何度も試してみた。

予感的中。

私は、もうワインが駄目になっている。

土曜の夜に飲んだワインが、抜けません。
割れそうな頭を抱えて、
朝からカバンの中を漁って、
アスピリンを引っ張り出して飲んだ。

冷や汗をかきながら
新幹線に乗り込んで、東京に帰ってきた。

頭が痛い。
食欲がない。

朝から何も食べてないのに、
まるで、食べ物が喉を通らない。

私は、ワインを封印する。

こうやって、飲めない酒がどんどん増えていくのだろうか。

お酒は好きだ。
酒を飲めば、ストレス解消になるとは思えない。
嫌なことを忘れられるとも思えない。
酒を飲んでも、抱えてる問題は何も解決しないことも知っている。
酒を飲んで気が大きくなっても
酔いが醒めたとき、等身大の冴えない自分に戻ってるということは
嫌と言うほど知っている。

それでも、私はその軽やかな気持ちになるのが好きだ。
まるで、自分が魔法使いになったような気になれる。

失敗もする。
失言もする。
失態もする。

だけど、それでも、酒の席でのことだからと
許してくれる友達たちがいる。

でも、私はまた一つ、飲めるものが減った。

焼酎は随分前から駄目。
ウィスキーは元々駄目。
ワインも駄目になった。

こうやって駄目になるものが増えていく。

そしていつか、
気が付いたら何も飲めなくなるときが来るのだろうか。

その時は、私は50代にでもなっていて
友達も少ない
結婚もしてない
恋人もいない
子供もいない
酒も飲めない

そんな自分の姿がカッと瞼の裏に見えたような気がして
少し怖くなった。

これからは、ビールと日本酒で行きます。私。

おっさんと言われようが。

「とりあえず日本酒で！」をモットーに！