種は誰のもの?
仕事で少しお付き合いのある、農業試験場の博士に聞いた話。夏に栽培できる果物のの新品種を作っている。試験栽培を数年くり返し、さて、実用化という段になって、農家に持ち込む。これは良さそうだ、実用化して販売も見込める。そうなると、実際に市場に出回るようになってゆく。昔だったら、農家は翌年用に種を確保しておく。そして、またその種で栽培、収穫した後は、その翌年のために種を確保して・・・・と、こういうふうに循環してゆく所。ところが今はどうもそう簡単ではないらしい。種は何回まで。ランナーが伸びるものは何株までと制限がかかるらしい。種苗会社の権利関係によるようだ。外資の大会社では、1年限りしか発芽しないように種に初めから記憶させているものも多いという話を聞いたことがある。自家採種した種を撒くと、毒になる成分が発生して、自家中毒のようになりまともに生育せず枯れてしまう。そこで、農家は、毎年種を買うしかなくなるというのだ。ターミネーターテクノロジーというそうだ。素人の私には納得がいかない。農家が、収穫した中から翌年用の種を残しておいて、年々栽培し続けるのはごく自然な事なのに。権利、特許、そういうものが、大きい会社に握られていて、実際に栽培する農家はその会社に必ず特許料を支払わなくてはならない。何かおかしい。朝鮮を併合したとき、土地所有の観念が希薄で日本語がよく分からない朝鮮の人から、「正式な」書類を作って土地を取り上げたやり方を連想した。