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カテゴリ:本
戦争が遺したものから 「 鶴見:戦時というのは、非常に嗅覚が発達してくるんです。誰が自分を密告するか、わからない時代でしょう。 だから表面的なディシプリンとか党派とか、彼はマルクス主義者であいつは記号論とか言うレベルではなくて、物の言い方とか身振りから信頼できるかどうかを嗅ぎつける。いわば「もやい」という感じですね。それが重大なんだ。 だから戦争中とか敗戦直後のほうが、同じ流派じゃない、つまり他流の人たちとの合流とか接触というのがあり得たんです。戦後には、それがかえってないんです。 略 つまり日本の学問は。本店ー支店の関係でね、外国の支店なんですよ。マルクス主義ならマルクス主義の、日本支店なんですよ。支店というのは、源流に遡っていろいろ考えることができないから、お互いがものすごくいがみ合うんです。それで結局「天皇」がいないと統合できない。そういう馬鹿馬鹿しい状態が、平和が回復してくると起こる。 率直に言えば、日本の知識人は根本から自分で考えていないから、そうなるんです。上から降ってきた 教科書をこなすことしかできない。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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