転載
「IWJ代表ジャーナリストの岩上安身氏による小沢一郎代表インタビューは、突っ込んだ鋭利な質問が相次ぎ、小沢さんもいつになく呆気らかんとして大っぴらな返答をしていた。
一通りライブで聞きながらメモをして、前後のニュアンスを思い出しながら少し脚色もあるので、要注意。
(以下、メモ&要約&一部脚色あり)
岩上安身氏(以下、岩上):
途中でTPPに関する認識が変わったのはどういう意味か?
小沢一郎代表(以下、小沢):
安 倍内閣の政権運営の姿勢、取り組み方を個別の問題以上に訴えたかった。ただ具体的に言わないとわかりにくいので、TPPを取り上げた。混合診療、自由診療 を認め、雇用も非正規をどんどん増やすことなど、安倍政権では、結局、強者の論理で強いものが勝てばいいというもので、小泉政権以上に「強いものの側に立った」政治姿勢だということで、TPPがわかりやすかった。
岩上:
安倍政権の改憲案で、97条の基本的人権を削除していることを、小沢代表が一番最初に指摘しました。
小沢:
安倍総理は、基本的人権ということに全然関心がなかったんですね。
永 久の権利であり日本国憲法の最も大事な部分。最初に質問した時には、安倍さんがわからないというのには驚いた。2回目に質問した時には、いろいろ調べてき たのでしょうが、11条に吸収したと言っていた。今の憲法は、最高法規として97条が大事だということを規定しているのだから、基本原理を軽視している。
岩上:
立憲主義がわからないとか、これを認めないと、立憲主義から離脱すると総理自身が言っている。
小沢:
近代民主主義の近代法を理解されてない。何から守るのかといえば、公権力の乱用、干渉によって基本的人権を侵されてはならないということ。
公共の利益、公の秩序を、ことさら大きくとりあげているが、「公共の秩序」が必要なのは、全くその通りだが、それを憲法で規定するのはおかしい。使うとすれば「公共の福祉」ということ。
昭和前史の日本帝国のイメージが、彼らの頭に入っているのでないか。明治以降、日本は文明開化などで、広範ないろんな人の才能を活用した。明治政府にとっては敵だった東北からも、いい人材を登用した。
それが時が経ち、昭和になると型にはまったものとなり、次第に天皇陛下を利用して自分たちの権威づけをしようとした。その辺のイメージが安倍政権にはある。
岩上:
国防軍で、敵基地攻撃論も出てきている。北朝鮮の基地を先制攻撃できるようにしようとしている。
小沢:
国家像として、彼らはそのようなものを持っている。あくまでも自衛権の行使は、他国から攻撃された時、それに関する反撃するものなのに、先制攻撃を可能にしようとしている。攻撃を受ける可能性があるから「やっちゃえ」というのは非常に危険である。
公明、自民、維新などが結託して憲法改正に突き進むが、公明党が憲法改正に賛成することは、創価学会の今まで教えてきたこととは全く違う事だから賛成するとは思えない。
日本人が何が何でも憲法を改正しないといけないと思っているとは思えない。大多数の国民はその前にやることはたくさんあると思っていると思う。
戦前の昭和史と同じように、個別的自衛権の拡大をやろうとしている。海外の日本人を助けるためには軍隊を派遣するというもの。どこが自衛権の範疇だというのは線引きできない。時の政府が勝手に判断してやっちゃうのは非常に危険。
岩上:
石原慎太郎は軍事国家になるべきだという。また拉致被害者は9条があったから起こったという。
小沢:
石原さんは核武装論ですから…。安倍さんはじめ周りの人も、背後に「核武装論」があると思う。
核武装による武装独立が彼らの頭にあり、これは近隣諸国やアメリカが最も嫌う事。
安倍内閣に関してアメリカ政府は非常に批判的で、表では言わないが非常に警戒している。
岩上:
尖閣諸島を買うと石原慎太郎が発言したのは非常に保守的なヘリテージ財団だった。
昨年11月14日に、米国の保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のブルース・クリングナー研究員が発表したレポートには、「日本が中国に向かっ反発しているのは我々が望んでいたもの」だとはっきりといっている。(週刊ポスト2013年1月1・11日号)
小沢:
それを財団の人が言ったとしたら、米国に協力させる都合のいい日本にしようとしたが、核武装独立だから、米国にとっても予想外であったと思う。米国が徐々に安倍政権の危険性を気づき始めている。
岩上:
アメリカには二つの流れがある。一つはジャパンハンドラーズと言われるジョセフナイなど、日中関係の悪化はアメリカには不利益だというものと、ケビンメアのような、とにかく中国の危険性を煽ってオスプレイ、イージス艦を買えといっているもの。
小沢:
今年に入り、非常に危険だと言っている。2月の首脳会談も冷遇した。晩さん会もない、記者会見もない。同じホテルにいて首脳会談もない。
ぼくみたいのは煙たがって嫌っていた。だけど、今になってそうではないなと思い始めているアメリカ人は多い。
米国の一部から、ぼくを排除しようと思っていたことは事実。それを見て見ぬふりをアメリカ政府がしてきた。
実は今の安倍内閣は、米国にとっても最もひどい内閣であり、アメリカは偏狭なナショナリズムの台頭が最も嫌がっている。
米国が少なくとも右の連中よりも、あいつ(小沢氏)のほうがいいと思っているのかもしれない。風の便りになんとなく感じるもので、そのようにも聞いている。
岩上:
同盟国ではない中国と二日間も会談し、韓国の大統領が米国議会で演説し、その後、日本に来ないで中国に行った。現状の日本の政府が置かれている状況はどんなものか?
小沢:
もう、日本はどこからかも信用されていない。もし、中近東でも中国でも政治的動乱や経済的動乱が来て波にのまれるような事態になったら、本当に話し合って乗り越えようという友達が居ないということだ。日本は完全に孤立する。」つづく