ロマゴンが負けた!井上尚弥の世界戦略はどうなるのか?
■なんとパウンド・フォー・パウンド不動の1位のローマン・ゴンザレスが判定負け!パウンド・フォー・パウンドとは、体重差を無くした時、最も優れたボクサーは誰か?をランキングしたものです。現実には、体重差があると勝負にならないのですが、ボクシングファンが脳内で誰が強いのかを考えて楽しむためのものですな。そのランキングで、ローマン・ゴンザレスは長らく1位を維持していました。このランキングは体重が軽いクラスに有利に働くものですが、それでも立派なことでした。■しかも今回の相手が、決して最高のスキルを持つボクサーではなかったことがショックです。要するに、4階級を制覇したロマゴンは、そろそろ体格的に力負けする階級に来てしまったというわけです。6階級を制覇したマニー・パッキャオのような例もあるので、ロマゴンにはこんなところで負けてほしくないと願いたいものでしたが、パッキャオのような特殊な人と比べるべきではなかったようです。■日本人にとって事のほかショックだったのは、ロマゴンを初めて倒すのは、井上尚弥だと思う向きが多かったことです。井上ならロマゴンを倒せるはず。多くの日本人はそう期待していたはずです。もし世界一強いといわれるロマゴンに勝てば、井上は一気にパウンド・フォー・パウンドの上位に躍り出たはず。それも、ロマゴンが強くて無敗のボクサーである時に、勝つことが重要でした。しかし、最高級とは思えないボクサーに力負けしているロマゴンに勝っても、以前ほどの価値は生まれません。いや、それどころか、リターンマッチを優先させるロマゴンに、井上と試合をする動機はもうないのかも知れない。■おそらく井上サイドとしては、今のジムが主導権を持ったままで、世界的なボクサーとして活躍させたかったのでしょう。それが、無敗のロマゴンを倒すという実績を頼みにした道筋でした。が、ここに至っては、海外展開の方向性を一から立て直さなければならなくなってしまいました。たぶん海外の有力プロモーターと提携していくことになるのでしょうね。ビジネス的にはうまみが小さくなったのかも知れません。が、井上ほどの才能を日本国内で埋もれさすのは何とももったいないことです。ここは、割り切らないと仕方ないでしょう。井上の試合がWOWOWでしか見られなくなっても受け入れます。だからなるべく早く海外で試合をする道を進んでほしいと思います。