テーマ:たわごと(26899)
カテゴリ:小ネタ
キャビンクルーはオレンジ色のライフベスト着用(乗客用は黄色) 飛行機事故のニュースが流れると、職業柄ガン見してしまう。 「自分だったらどうするか?」考えざるを得ないからである。 “Ditch(ディッチ)”という単語は日本人にあまり知られていないが “航空機を水上に不時着させる”という意の動詞。 真冬のアメリカ東海岸での“Ditching(緊急着水)”と聞いて 思わず1982年1月氷結したポトマック川に突っ込んだ エアフロリダ機の事故*を思い出してしまったが、 今回は奇跡の負傷者ゼロ。・・・とにかく良かった。 【エアフロリダ機の事故*】 1982年1月13日、氷結した厳寒のポトマック川に墜落した エアフロリダ機(既に倒産)90便(B737機)の事故。 墜落前、橋げたに激突したこともあり多くの犠牲者が出た。 救出ヘリからの命綱を2度も女性に譲り、 犠牲者の中で唯一水死したMr. Arland Williamsの美談が記憶に新しい。 ■ 救命胴衣(ライフベスト)は焦って膨らますべからず 膨らむとかなり顔面を圧迫するライフベスト USエア1545便(A320機)には149名の乗客+1名の赤ちゃん、 そして5名のクルーが搭乗。 5名ということはコックピットクルー2名(機長+副操縦士) キャビンクルー3名ということである。 写真を見てもらうと分かるが、 一般乗客のライフベストが黄色であるのに対し、 クルーのライフベストはオレンジ色(性能に差はナシ)。 裏表は特にないので、着用を指示されたらとにかく頭から被って着るべし。 ここで強調したいのが、ライフベストを膨らますタイミング。 この事故でも脱出時、腰の高さまで水が入ってきたそうだが、 迫りくる水の恐怖でまだ機内にいる間に ブフュ~ン!(ものごっつ音がします)と膨らますのはNG。 万一、機内の水位が増して脱出口から潜って脱出せねばならない場合 浮力が付き過ぎて潜水不能になってしまうからである。 “ライフベストを膨らますのは脱出口をくぐる瞬間!” ・・・これは是非覚えておいて頂きたい。 ■ 救命胴衣(ライフベスト)は2重の浮き輪式 翼状で救助を待つ乗客達(外気温-6度・水温2度) さて、このライフベストであるが、 いざ付属の紐を引っ張ると物凄い音がして、 頬っぺたが圧迫されるほど膨らむ(モチ経験済@訓練)。 結果、視界もせまくなり足許が見えにくくなるという現象も・・・。 上記写真のエリマキトカゲみたいになっている男性を 見て頂ければ良く分かると思う。 思うにこれは、救命ボートから転げ落ち大海原に放り出された場合、 とにかく顔面だけは海上に出て呼吸を確保 ・・・という超サバイバルなレベルで設計されているから。 これはあまり知られていないことであるが、 航空機備え付けのライフベストは 浮き輪が2つ縫い付けられたような構造になっている(Two Chamber方式)。 多くの人が左側の紐を引っ張れば“左側のライフベスト”が、 右側の紐を引っ張れば“右側のライフベスト”が膨らむと信じているようだが、 実はそれは間違い。 正しくは“紐を片方だけ引っ張れば浮き輪は1重に”、 “紐を両方引っ張れば浮き輪は2重に”膨らむという方式。 ・・・個人的に、本件のように比較的安全に救命ボートに乗り移れる場合、 ライフベストの紐は片方だけ引っ張れば十分なのでは?と考える。 写真を見ても、左側のキャビンクルーなんて、 ライフベストを膨らませていないようにも見えるし・・・。 (万一このような状況に遭遇してしまった場合、 各社エアラインのキャビンクルーの指示に従いましょう♪) ■ 緊急脱出時はとにかく冷静に行動 20年程前エンジン火災で某USの空港に緊急着陸し、 スライドまで滑った・・・という経験を持つ知人によると、 その時は機体後方のドアが全滅で開放不可だったらしい。 乗客が比較的冷静に前方のドアから脱出しようとしていた時、 とある乗客が「早くしろ!爆発するぞ!」的な一言を発したせいで 機内はプチパニックになってしまったらしい。 脱出時の不用意な発言は人が思う以上に悪影響を及ぼすらしい。 USエアの事故に遭遇した日本人乗客のひとりも 「乗客が我先に脱出口から出ようとして怖かった」的なことをおっしゃっていたし とにかく“冷静に行動する”ことが大切! パイロット入試問題集(2008ー2009) AIRLINE (エアライン) 2009年 02月号 [雑誌] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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