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Jan 19, 2009
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テーマ:たわごと(26899)
カテゴリ:小ネタ




us_airways1

キャビンクルーはオレンジ色のライフベスト着用(乗客用は黄色)





飛行機事故のニュースが流れると、職業柄ガン見してしまう。
「自分だったらどうするか?」考えざるを得ないからである。


“Ditch(ディッチ)”という単語は日本人にあまり知られていないが
“航空機を水上に不時着させる”という意の動詞。


真冬のアメリカ東海岸での“Ditching(緊急着水)”と聞いて
思わず1982年1月氷結したポトマック川に突っ込んだ
エアフロリダ機の事故*を思い出してしまったが、
今回は奇跡の負傷者ゼロ。・・・とにかく良かった。



   【エアフロリダ機の事故*】

   1982年1月13日、氷結した厳寒のポトマック川に墜落した
   エアフロリダ機(既に倒産)90便(B737機)の事故。
   墜落前、橋げたに激突したこともあり多くの犠牲者が出た。
   救出ヘリからの命綱を2度も女性に譲り、
   犠牲者の中で唯一水死したMr. Arland Williamsの美談が記憶に新しい。





■ 救命胴衣(ライフベスト)は焦って膨らますべからず




us_airways2

膨らむとかなり顔面を圧迫するライフベスト




USエア1545便(A320機)には149名の乗客+1名の赤ちゃん、
そして5名のクルーが搭乗。
5名ということはコックピットクルー2名(機長+副操縦士)
キャビンクルー3名ということである。


写真を見てもらうと分かるが、
一般乗客のライフベストが黄色であるのに対し、
クルーのライフベストはオレンジ色(性能に差はナシ)。
裏表は特にないので、着用を指示されたらとにかく頭から被って着るべし。


ここで強調したいのが、ライフベストを膨らますタイミング。
この事故でも脱出時、腰の高さまで水が入ってきたそうだが、
迫りくる水の恐怖でまだ機内にいる間
ブフュ~ン!(ものごっつ音がします)と膨らますのはNG。
万一、機内の水位が増して脱出口から潜って脱出せねばならない場合
浮力が付き過ぎて潜水不能になってしまうからである。



   “ライフベストを膨らますのは脱出口をくぐる瞬間!”



・・・これは是非覚えておいて頂きたい。






■ 救命胴衣(ライフベスト)は2重の浮き輪式



us_airways3

翼状で救助を待つ乗客達(外気温-6度・水温2度)




さて、このライフベストであるが、
いざ付属の紐を引っ張ると物凄い音がして、
頬っぺたが圧迫されるほど膨らむ(モチ経験済@訓練)。
結果、視界もせまくなり足許が見えにくくなるという現象も・・・。
上記写真のエリマキトカゲみたいになっている男性を
見て頂ければ良く分かると思う。


思うにこれは、救命ボートから転げ落ち大海原に放り出された場合、
とにかく顔面だけは海上に出て呼吸を確保
・・・という超サバイバルなレベルで設計されているから。


これはあまり知られていないことであるが、
航空機備え付けのライフベストは
浮き輪が2つ縫い付けられたような構造になっている(Two Chamber方式)。


多くの人が左側の紐を引っ張れば“左側のライフベスト”が、
右側の紐を引っ張れば“右側のライフベスト”が膨らむと信じているようだが、
実はそれは間違い。


正しくは“紐を片方だけ引っ張れば浮き輪は1重に”、
“紐を両方引っ張れば浮き輪は2重に”膨らむ
という方式。


・・・個人的に、本件のように比較的安全に救命ボートに乗り移れる場合、
ライフベストの紐は片方だけ引っ張れば十分なのでは?と考える。
写真を見ても、左側のキャビンクルーなんて、
ライフベストを膨らませていないようにも見えるし・・・。
(万一このような状況に遭遇してしまった場合、
各社エアラインのキャビンクルーの指示に従いましょう♪)





■ 緊急脱出時はとにかく冷静に行動



20年程前エンジン火災で某USの空港に緊急着陸し、
スライドまで滑った・・・という経験を持つ知人によると、
その時は機体後方のドアが全滅で開放不可だったらしい。


乗客が比較的冷静に前方のドアから脱出しようとしていた時、
とある乗客が「早くしろ!爆発するぞ!」的な一言を発したせいで
機内はプチパニックになってしまったらしい。
脱出時の不用意な発言は人が思う以上に悪影響を及ぼすらしい。


USエアの事故に遭遇した日本人乗客のひとりも
「乗客が我先に脱出口から出ようとして怖かった」的なことをおっしゃっていたし
とにかく“冷静に行動する”ことが大切!





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Last updated  Jan 19, 2009 08:34:41 PM
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