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テーマ:映画館で観た映画(8570)
カテゴリ:洋画(あ行)
原題:UN PROPHETE 監督:ジャック・オディアール 出演:タハール・ラヒム、ニエル・アレストリュプ 製作:ローランヌ・ブラショ、マルティーヌ・カシネッリ、マルコ・チェルキ 撮影:ステファンヌ・フォンテーヌ 鑑賞劇場 : TOHOシネマズ六本木ヒルズ 「フランス映画祭2010」 公式サイトはこちら。 カンヌ国際映画祭2009グランプリ受賞 英国アカデミー賞2010外国語部門受賞 第35回セザール賞史上最多9部門受賞 (作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、新人男優賞、脚本賞、撮影賞、編集賞、美術賞) 米国アカデミー賞2010外国語部門ノミネーション <Story> 六年の刑に処された19歳のアラブ青年マリクは、年も若く、読み書きもできず、刑務所ではまったく無力の存在だった。 たちまち所内を取り仕切るコルシカ人グループのいいなりになってしまうが、与えられた「仕事」をこなすうちに、刑務所での生き方を覚え、 仲間たちの信頼を勝ち取ることに成功する。 そして今度は持てる限りの知恵を使い、自分のためのネットワークを張り巡らせてゆく。 (日本公開未定) <感想> ずいぶんと多くの賞に輝いている本作。 また、今年のアカデミー外国語部門にもノミネートされていました。 日本公開未定ということで、これが鑑賞の貴重なチャンスであることは間違いありません。 あらすじにもありますが完全にギャング系。 ということはバイオレンスなシーンも割とあります。 血が苦手な人には少々辛いシーンあり。 日本公開されるとしたらR-15くらいでしょうか。 ギャングものはほとんど鑑賞しないので何とも言えないんですが、普通のギャングものと明らかに違うことは、物語のほとんどが刑務所内で展開されていくこと。 刑務所の内部ってどこもこんなものなんだろうか。 看守は買収され、受刑者はやりたい放題。 携帯からドラッグまで手に入る。 マリクの服役中の6年間。 おとなしく刑務所内で過ごさせてもらえると思ったのもつかの間、否応なしに巻き込まれていく抗争。 だがその抗争こそがマリクを這いあがらせるきっかけとなる訳です。 コルシカ側のボスから依頼を受けたマリクは、それをきっかけにコルシカ系囚人の派閥に入るが、あくまでも彼はアラブ系。 それはアラブ系囚人たちからの反発を招く訳です。 ところがマリクは、彼独自のやり方でアラブ系にも借りを作り、双方にとって有益な存在になっていく。 ストーリー背景として浮かんでくるのは、フランスの移民問題、人種差別。 アラブ系住民が増えていることへの反発もあったり、コルシカ島出身ということも微妙にフランス社会では関係してくるのでしょうか。 その中でアウトサイダーでな存在のマリクは、自分がいかにしてのし上がれるかを考えて行動していく。 彼は何にも考えていないようなふりをして、実は用意周到であったり、 その逆に突然間が抜けたことをしているのも妙にアンバランスだった。 ただし1度した失敗から彼は確実に学んでいる。 どうしたらうまくいくか、どうしたらヤバいか、誰と誰がどうなのか。 彼にはその観察眼があった。 民族同士のバランスの撮り具合をうまく利用して、自分がアラブ系であることも逆手に取っていく度胸の良さ。 いちかばちか賭けに出るところがないと人生は這いあがれない。 孤児として育った彼にはそのことは痛いほど身に沁みていいたのだろう。 しんどい場面ばかりではなく、ふとした時に仲間に見せる温かい部分もまた、支持されるにふさわしい部分であった。 徹底して抗争がベースとなっており、服役中というのがほとんどの設定なので、総じて雰囲気は陰惨。 ギャング系なら『ジャック・メスリーヌ』は好きな作品ですけど、その華やかさとは一線を画す。 話はかなり複雑で登場人物も多く、誰が誰の観方で敵で裏切って工作して・・・ と考えていくと、かなり体力を消耗してしまう。 おまけに上映時間が2時間半くらいあり、中身はほぼ闘いだけに、同じような感覚がずっと続いてしまうのは少々忍耐は必要かも。 日本公開は未定ということですが、各賞に輝いた本作ですので、この手の作品を期待する向きにとっては大いに食指をそそるであろう。 ********************************** 今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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