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テーマ:映画館で観た映画(8566)
カテゴリ:中国・香港映画、その他の映画
原題: SPRING FEVER/春風沈酔的晩上 監督 : ロウ・イエ 出演 : チン・ハオ 、 チェン・スーチョン 、 タン・ジュオ 、 ウー・ウェイ 、 ジャン・ジャーチー 、 チャン・ソンウェン 鑑賞劇場 : シネマライズ 公式サイトはこちら。 <Story> 現代の南京。 夫ワン・ピンの浮気を疑う女性教師リン・シュエは、その調査を探偵に依頼し、夫の行動を調査させる。 やがて浮気の相手がジャン・チェンというゲイの青年であることを突き止める。 夫婦関係は破綻し、ワンはジャンのからも距離を置かれ始める。 その一方、探偵とジャンは惹かれ合い始め……。 スプリング・フィーバー?-?goo?映画 <感想> ロウ・イエ監督作品は、中国当局から映画制作禁止処分を受けた前作、 『天安門、恋人たち』が結構好きだっただけに、 本作もかなり期待していました。 スタンスとしては前作と同じように感じました。 すなわち現在の中国という、外向けと内向けの顔が違う国家に生きることイコール、 思うがままに自己表現することが難しい社会において、 漂いながら自分探しをしていく人間の姿を、 激しい性愛に乗せて描く、ということです。 本作はその性愛部分がさらに深化したというか、 到底中国社会では受け入れられないであろうケースばかりを並べてきたところに、 監督の深い想いを感じる。 話の元となっているのは、中国の作家・郁達夫(ユイ・ダーフ)の 『春風沈酔の夜』。 中国では教科書に載っているくらい有名な作家さんだそうです。 戦前に留学生として来日、帝大を卒業し、日中戦争では救国運動に携わった後、 終戦後スマトラで日本憲兵に殺害されたという経歴の方です。 中国文学は正直門外漢なのですが、 春の宵を漂い・・・ といった感じだったと記憶しています。 彼自身、戦前戦中の日中の動乱を体験しているだけに、 身の置き所や自身のアイデンティティを作品に盛り込んでいるようにも 感じます。 ロウ・イエ監督はそれをテーマにして、現在の中国のみならず、自分自身の境遇にも 置き換えて表現したのでしょうか。 どうあがいても、どっちに行こうとしても 結局元の繰り返しになってしまう。 それはジャン・チョンの愛しかり。 どこにも持って行きようのない結末だけが、登場人物の彼らには重くのしかかる。 出来ることと言えば、今のまま、ひたすら流れに身を任せ、 漂うしかないのか・・・。 そんな行き詰まりのような、明日の見えない苦しさと同時に、 束縛を一切破り捨てて自由に生きる道を行く彼らの、 唯一の方向性としてこの詩が選ばれているのではないかと感じました。 今日の評価 : ★★★ 3/5点 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.11.28 20:05:55
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