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テーマ:映画館で観た映画(8570)
カテゴリ:中国・香港映画、その他の映画
原題: APART TOGETHER 監督 ワン・チュアンアン 出演 リン・フォン 、リサ・ルー 、シュー・ツァイゲン 、モニカ・モー 公式サイトはこちら。 コピーに、「中国と台湾を隔てる悲しい歴史に翻弄された二人の夫と妻」とあるのですが、 これをきちんと理解するには、第2次大戦後の中国史や、 台湾との問題を押さえておかないといけないのでしょうね。 国共内戦について wiki 最も、この映画においては、そんなに中台のあれこれは描かれてはおらず、 むしろその歴史の流れによって運命を変えられてしまった人たちからの目線が中心ですが。 あまりにも簡単に善民(シャンミン)が玉娥(ユィアー)の希望を認めてしまい、 燕生(イェンション)とも友好的な関係を築いてしまうのにはかなり拍子抜けしましたけど、 そこには、台湾建国時の混乱や、動乱によって生じた影響、 携わったり残された人たちの様々な心情を加味する必要がある。 善民は玉娥を不憫に思ったのだろうし、そしてお腹に建国(ジュングオ)を抱えた玉娥はそうするしか生きる道がなかった。 愛だの恋だのと言っている余裕はなかったはずです。 そこからお互いに、後ろ指を指されながら、理不尽だと思いながらも必死に生きてきた。 だから、「そこには愛はない」と玉娥が言った時も、それに対して真っ向からなじるということは善民にはできなかったのでしょう。 それ以上に40年という歳月を、玉娥は尽くしたはずです。 また、自分の裏返しとしての燕生の苦労も、善民はわかっていたと思うのです。 それにしても、建国はかなり燕生には冷淡だったかなとも思いました。 関係ないとは、かなりなお言葉です。 父親の苦労を汲み取ろうとする意思がないのはもともとなのか、それとも後天的に建国に植えつけられてしまったものなのか。 その理由は映画の中では明らかにはならないのですが、その冷淡さや、 他の子供たちの自己主張なども併せての原題の中国を描き、 中台間の動乱が起こった頃に中国人が持っていた良さが失われてしまったことを強調したかったのではないだろうか。 ナナを除く子孫たちが非常にドライなのはその象徴でしょう。 新しい住居に来なくなってしまった子どもたちもまた、歳月と共に変わって行く中国社会の象徴でもありますが、 愛のために生きると決めた玉娥の、今後の人生に結果として横たわる深い絶望も考えていかないといけないように思います。 愛と言っても、博愛もまた愛であると自分に言い聞かせることでしか癒せないように感じました。 しかしながらそれをどこかで運命として、流していくような覚悟も、玉娥のなかには存在していたと思います。 食卓を家族で囲むこと。 しかしながらその胸中には裏腹の想いも同時に乗せているはずで、 外での食事が台無しになるシーンにも重ねられている。 原題にもあるとおり、"together"であるのにも関わらず、実際は"apart"だったのは、 今まで築き上げてきた自分の家族だけではなかったということです。 いくら歳月を重ねても、越えられないものは越えられない。 それに耐えられるかどうか。 この描き方が、どうしようもない現実を浮き彫りにしています。 20年前に設定にしているところがまた、リアルでもありました。 欲を言えば、もっと中台問題に踏み込んでもよかったかもしれません。 監督は『トゥヤーの結婚』(未見です)のワン・チュアンアンですが、 中国での制作ということを考えると、この着地点はギリギリの線だったようにも感じました。 あくまでも家族の問題が焦点ですし、これでよかったと思います。 今日の評価: ★★★☆ 3.5/5点 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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