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カテゴリ:音楽
路面が凍り始めた帰路をうつ向きながら歩いている。手足の指先はひしめき合う寒さの攻撃に堪えきれずビリビリと弱音を吐きだした。まことにふざけた寒さである。もしこのまま歩き続けたらいつの日にか自分は21世紀初頭の生ける冷凍食材としてひ孫達に振る舞われるに違いない。もちろんそんなことはごめんだ。崩壊した地球の食卓に並ぶなんてことを考えただけでも後頭部から脳のシワが出てきてコンニチワとホムンクルスを提示してきそうだ。
あぁロジカルに物事が進まない。 雑念の塊を空中に投げ、頭を空っぽにすることに集中する。浮かびゆく雑念の行く先を追って顔を上げるとそこには無数に広がる圧倒的な星空がそこにあった。 日本の冬特有のカラッとした空気がそうさせているのか、基より山岳地帯に属するこの地域がそうさせているのかわからないが、真っ黒な天井の小さな隙間から強い光が漏れジオラマのような地上をはっきりと照らしていた。首を垂直に上げ視界に砂時計の形をしたオリオン座を捕らえると、目の前には広大な世界が広がる。 そう。山裾にもたれかかっている暗幕から滴り落ちるのはリアリティなのだ。すべてはこの暗闇から派生し、降り注ぎ、浸透させる。 すべての物事はモノクロに進んでいる。ちっぽけなこの地上において真の意味でのリアリティというのは一日の半分は隠れ、姿を消している。 しかし一端姿を現すとそれは容赦しないほど我々を照らし、影の形を変えてしまう。おそらく大きすぎるからであろう。それは僕の希望の光として僅かながらも存在し得ない究極の絶望の縁なのか。 IKO[I AM ZERO]2006/01/25 DDCJ-3006 \2,280 (税込) 視聴 ・Myspace.com/ikomusic 3曲ほど お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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