とうとうこの日が来てしまった...
思い返せば2年前。
女の子と少年がベジマイトが好きだと初めて聞いたとき。
得体の知れないその黒いペーストをパンにぬって食べるここの習慣に食わず嫌いな拒否反応を持っていた私にとって、それはあまりにも大きな衝撃だった。
しかし考えてみればオーストラリアで産まれ育つ彼等にとってそれを何の抵抗もなく食べられるようになる事は至極当然ことだった。
それなら何れはアレもやるようになるのか...それは必然的に出てくる次なる疑問でした。
そしてその答えはあまりにも明らか。
そう、その日はきっと来る。
私の不安が確信に変わるのにそんなに時間は掛かりませんでした。
その日が来た時どうすればいいのか。
私は考えました。
その時、無様にうろたえることだけはしたくない。
心の準備だけはしておこうと決意したのでした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そしてとうとうその日が来たのです。
少年に毎日訊いてる質問「今日、学校で何したんだ?」
彼は暫らく考えるとこう答えました。
「クリケット!」
「僕が投げたら誰も打てなかったけど、
先生が投げたボールを打てたのは僕だけだよ!」
野球に似ている様でまったく別物スポーツ。
こちらではかなりポピュラーなスポーツで、ボールと棒があれば始まるのはクリケットと決まっています。
しかし私はその存在を知ったのも実際に見たのもオーストラリアに着てからです。
残念なことにどんなに努力しても私にはその面白さが判らない。
そう言った訳でプレイすことなく、私の人生でクリケットにかかわることはないだろうと思っておりました...
クリケットデビューを飾った少年。そのうち私も遊び相手としてそれにお付き合いしなければいけない火が来るのでしょうか...
別に避けなくていいっちゅうに...