カテゴリ:歴史書
もはややるべき主要なことは資金調達(単位時間当たりの運用額の拡大)のみなので、
戦術的なことはひとまず距離を置いて、時間軸を長めに置き、マクロな戦略的なことを考えている すなわち景気循環のお勉強となるのだが、この本はその入門となるのではないだろうか。 考え事するには十分な、ある程度有閑な時間を持てる方にはお勧めしたい 原著のタイトルは、business cycles。 信用恐慌とは、サイクルのうち天井→底までの過程のこと。 18世紀からの景気循環、恐慌を時間軸に沿って良くまとめた経済歴史書だ。 経済学の革新を起こしてきた人たち ・ジョン・ロー(紙幣の開発) ・アダムスミス(見えざる手;ほっとけば均衡に戻る;ネガティブフィードバック、古典派経済学) ・セイ、リヵート、ソーントン、ミル、パベッジ ・ジュグラー(景気循環の指摘) ・マーシャル(ポジティブフィードバック) ・パブソン、フィシャー、シュンペーター ・ミッチェル(NBERの設立) ・キチン、コンドラティエフ、クズネッツ(3種の循環) ・ケインズ(古典派に対抗、政府の舵取りの必要性) ・リバモア、ソロス(直感の投機家、経済理論の実効性・用途の探索) それぞれの主張がこつこつと書かれているが、 それぞれの重なる集合または現在までに正当であるものをまとめると、 ・信用取引が経済の基本。資本を担保にして何倍にも信用拡大させて事業や物が流動する。 ・見えざる手は二つ(ネガティブ・ポジティブフィードバック)ある。トレンドが継続するほどに均衡から乖離していくのと、乖離したトレンドがバーストしていずれ均衡に戻っていくのと。 ・信用が高まるとさらに信用が高まって信用が膨張される。信用が崩壊するとさらに信用が信用できなくなって信用が崩壊する。財布の帯を締めるようになりマネーサプライが減少する。 ・しかし、安値で設備・資源が手に入るようになるので、投資効果は十分上がる。すなわち不況時に技術革新が起こりやすい。そして底からトレンドが発生して投資効果がなくなるまでトレンドは続く。 ・不況の原因は好況にある。投資が長期にわたるほど有害性は増す。 ・低金利が長期に渡りすぎると投資過剰になる。高金利で投資効率が悪いときに投資継続していると破局が待っている。不況中であるのに高金利で通貨暴落を防ごうとしてもいずれ決壊する。 ここまでは万人(投資家)にも理解できる範囲の景気循環学だ。 ここからさらにカオスとシステムダイナミックスを主体にしたお話になるのだが、 そのお話自体がカオスであって、難しくってわからない 登場人物は、 サムエルソン、ハースト、ローレンツ、フォレスター、エゼキエル、メイ、ヨーク、スターマン 気がむいたら纏めてみたい。 結局のところ、ライブドアショックを作り上げたタイミングは絶妙で健全だったといえるだろう この著者はこちらの本も執筆している。 こちらは戦術的な内容のようだが、 ・「信用恐慌」で抜群の記憶力、飽きさせない編集力をみせられた。 ・スイスでヘッジファンド稼業をしている。(最低限の運用力はある筈) ・工学修士+MBAの履歴 という興味ある前提なので機会があったら読んでみる所存。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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