|
カテゴリ:坂田 博昭
水曜日の担当は、坂田博昭です。
今回は、4月29日(月祝)の笠松競馬場のリポートです。 重賞の飛山濃水杯……よりも、「ウマ娘」イベントの方が目立ったかな(汗)。 残念ながら、今年はタイミングが合わずにこの場所の花の景色は見られず…… 緑に包まれた、笠松競馬場の入場門。 朝の1レースが始まる前にもかかわらず、競馬場に向かう人々がこのように次々と入場門に吸い込まれていきました。 3年連続での「ウマ娘」とのコラボイベント。 一昨年はまだコロナ。昨年はよく憶えていませんでしたが平日だったみたい。 今年は、笠松の大型連休の開催で唯一休日と重なっていたこの日4月29日にイベントが行われ、大賑わいの一日となりました。 競馬新聞も、通常の表紙デザインのもののほかに「ウマ娘」デザインのものが売られていました。 担当者の汗と涙の結晶で出来た作品だとのこと。 場内のスペースは、ぐるぐると伸びる列を作る人々で、溢れかえっていました。目当ては、場内のお店で商品を買うともらえる特製のポストカード。お店毎にデザインの異なるカードがもらえるということで、朝早い時刻からお店をはしごして並んでゲットしている猛者もいたようです。 私が競馬場に到着した時点で、このキャンペーンをやっていたお店の半分ぐらいが、ポストカード配布終了。先ほどの競馬新聞屋さんでは、瞬く間になくなったそうです。 撮影ご協力感謝。 列の最後尾のお客さんが「最後尾」と書かれたカードをリレーしていく、アイドルの「特典会」方式(笑)。 いつもはのんびりした雰囲気で営業しているお店も、この日はどこも大忙し!! 撮影ご協力感謝。 先着で配られた「うちわ」も、来場客の目当てのひとつ。 10時50分発走の1レースから、このように多くの来場客がレースに注目していました。 発売窓口に並ぶ人々の風景。 昭和の競馬場みたい。 キャラクターの力を借りて、それに惹かれて集まっている人々が殆どなのだけれど…… これはこれで、いいのではないかと思っています。こういうことを続けてやっていけるのであれば、競馬ファンではない人々にとっても、競馬場でも年に1度か2度は楽しいことがあるってなるから。 大切なのは、続けてやっていくこと。 毎年1度か2度、出来れば決まった時期に、こうして大勢の人々が集まってその場所が盛り上がるような日が作れて、この競馬場は毎年1度か2度そういうことがある場所だぞ、って、世の中の人々に認知される存在になるなら、それはこの競馬場が「続いていく」ための大きな力になるはずです。 いま「ウマ娘が人気があるから」じゃないんですよね。競馬って言う物事は、キャラクターよりも遙かに長く続いていかなければならないのだから。 実際、レースのたびごとに場内は盛り上がり、馬がゴール前にさしかかるとそのたびに、地鳴りのような歓声がわき上がっていました。 この写真は、4レース。 ゴール前3頭が並ぶ攻防は、一番内側の1番パイロンが勝ちました。 120万円を超える3連単の配当が発表されると、場内ははひときわ低くて響く歓声に揺れました。 勝ったパイロンに騎乗していた、森島貴之騎手。 「あそこまで行ったら、是非勝たないとと思いました。」 してやったり、というよりは、馬を勝たせることが出来てホッとした、という表情でレースを振り返りました。 「気性の難しい馬で、川崎でも苦労していたみたいです。乗り手を振り落としていたって聞いていましたけれども、自分も何度も振り落とされました。」 装鞍所からパドックへの行き来は、栗本陽一調教師が自ら、両手でリードをグッと引いて馬に身体を寄せるようにして制御しながら、凄く気を遣って力も使っていました。 レースは、この馬のここ一連とは全く異なる逃げ。それも後続を大きく離しての逃げでした。 「一度、こういう競馬をしたいと思っていたんです。でも相手もいてなかなかそううまくはいきませんから。何とか逃げて残ってくれて良かったです。」 下級条件であっても、一つひとつの勝利に、人々の力と気持ちが込められているよね。 場内で馬たちに声援を送っていた来場客の皆様にも、本当はそういうことも伝わったら、もっと面白いことが起きると思うのですが…。やりませんか?そういうことをもっと。 名古屋のルーキー・望月洵輝騎手 この日、初めて笠松で騎乗機会を得てやってきたそうです。 これから、この場所で姿を見ることも多くなっていくでしょう。 こちらは、笠松のルーキー・明星晴大(みょうじょうせいだい)騎手。 初めてお目にかかりました。 また今度、じっくり話を聞いてみよう。 いつもとは異なるスタンドからの声援や歓声も、騎手たちは意気に感じていたようです。ある若手は「ゴール前、G1レースみたいだった!G1乗ったことないけど(笑)」と、笑顔で話していました。 素晴らしいなと感じたのは、このシーン。 笠松では、バスでパドックまでやってきた騎手たちが、こうして「ペコリ」と一礼するのですが…… この日は、この「ペコリ」の度に毎レース、スタンドから拍手が起きていました。 「新しい」観戦客の皆さんによる、新しい競馬観戦のカタチ イベントデーじゃないときでも、続いたらいいなと感じました。 この日のメインレースは、飛山濃水杯(1400m)。 距離を1400mに変え、時期も5月下旬に移ったオグリキャップ記念のトライアルとして行われました。 レースは、西日本交流で、遠征馬も5頭参戦。 どこの競馬場も、短距離の馬にとっての適鞍が少ないようで…… 2500万円と高額賞金のかけられたオグリキャップ記念への出走権を得ようと、佐賀からも2頭が遠征してきたことは注目されました。 が……しかし…… レースは、好ダッシュからハナを奪ったセイルオンセイラーが、そのままコース1周一人旅。勝負所でつけた差が、最後まで殆ど詰まることがありませんでした。 午後から、結構な量の雨が降ってきて…… それも影響したように思います。 隊列の半分から後ろにいた馬たちには、全くチャンスがありませんでした。 重賞初勝利に燃えていたコンビーノが追いすがって来たものの、2馬身差の2着が精一杯。 名古屋のセイルオンセイラー 圧勝! 前半の800mが47秒7 上がり600mがほとんど止まらず37秒6 1400mを1分25秒3で駆けられては、後続は手も足も出ませんでした。 友森翔太郎騎手も、後ろの様子を確認しながらゴール。 本当に強いレースを見せました。 馬を下りて、破顔一笑の友森翔太郎騎手。 「今日は装鞍の時からうるさくてイレ込み加減で、ゲートの中でも出て行こうとして突進するぐらいでした。スタートが速かったですし、強かったですね。自分は掴まっていただけでした(笑)。」 イレ込んでいた、という言葉に「?」となったのですが……塚田隆男調教師の話を聞いて合点がいきました。 塚田隆男調教師(写真の馬のすぐ左)の話 「(昨年秋に)JRAから移籍してきたときには、馬が走る気をなくしているようだと聞いていました。だから、初めは長めの距離から使い始めたんです。相手関係もあるのか、馬もだんだん良くなってきて、今日はうるさいぐらいの感じでしたね。スタートはそれほどでもないけれど、二の脚が速いですから、この距離でも十分やれそうです。」 気持ちが出るようになって来たことは、この馬に関しては「前進」だったんですね。 年明けには、同じ笠松で1800mの重賞・ウィンター争覇を勝ち、前走は1900mのマーチカップで2着。1度だけ名古屋の920mを使われたことがありましたが、それを除けば今回の1400mは、3勝したJRA時代を含めても最も短い距離でした。それが、このような圧勝。名古屋に移って、この馬の新たな面が見出されたということでしょう。 一緒に取材していた記者の方が、言っていました。「いまの東海に、こういう本格的な先行タイプの短距離馬って、いないよね」と。 これから、この東海で面白い存在になるかも知れません。 まずは、次走のオグリキャップ記念で他地区の強豪相手のレース。とても楽しみです。 表彰式での友森翔太郎騎手のインタビューの模様は、笠松競馬オフィシャルYoutubeのこのあたりから。 レース終了後のトークイベントを待つ人々。 この日の、笠松本場の入場人員は8290人と発表されました。すごいね。 「ウマ娘」目当てで来られた方々にも、競馬を盛り上げてもらいました。 その盛り上がりが、本当に楽しい一日でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年05月01日 14時24分51秒
[坂田 博昭] カテゴリの最新記事
|