2018年の八戸市場が行われました
木曜担当のよこてんです。 7月3日の火曜日、青森県は八戸市において『八戸サラブレッド1歳市場』が開催されました。 暦の上では夏の暑い盛りに開かれる八戸市場ではありますが近年は暑いといっても割と過ごしやすい日だったりしたのですが、今年は正真正銘掛け値無しに暑い中で行われました。月曜・火曜と暑い日が続いた中で外にいたのでめちゃ日焼けした・・・。 八戸市場はですね、毎年漢字一文字を足して「八戸○市場」とキャッチフレーズっぽく作るのですが、今年は「八戸熱市場」。まさに熱い?暑い?市場でした。 それでは取引額上位の馬を中心に見ていくことにしましょう。 まず今年の最高価格馬になったのは父リアルインパクト・母ドルフィンルージュの牝馬で831万6千円。青森・諏訪牧場の生産馬です。★父リアルインパクト・母ドルフィンルージュ 本馬から見た3代目の母Slip Ashorはタイキシャトルの母ウェルシュマフィンの半姉にあたります。父リアルインパクトはこの世代が初年度ですね。 ちなみに青森産馬が最高額を獲ったのは2年連続になります。 第2位は父オーシャンブルー・母イースタリーブリーズの牡馬で756万円でした。本馬も青森の、イズモリファームの生産。1位は牝馬でしたので「牡馬の1位」はこの馬です。また最高額・2位共に青森の牧場の馬になったのは2008年以来10年ぶりの出来事に。★父オーシャンブルー・母イースタリーブリーズ 第3位は680万4千円、父パイロ、母ショウリダバンザイの牝馬で、新ひだか・タイヘイ牧場の生産馬。★父パイロ・母ショウリダバンザイ 母ショウリダバンザイは門別で大活躍しただけでなく岩手にも頻繁に遠征してきており、ビューチフルドリーマーCでじゃ2011年から2013年まで3年連続遠征。優勝こそならなかったものの3回中2回、1番人気に支持されていました。★ショウリダバンザイ(2013年ビューチフルドリーマーC) 第4位は父ゼンノロブロイ、母ローマンクイーンの牡馬で648万円。牡馬では2番目の価格ということになりますね。★父ゼンノロブロイ、母ローマンクイーン 続いて第5位。父はウインバリアシオン・母はヨンハという血統の馬で青森・佐々木牧場の生産馬。価格は561万6千円。 父は青森で繋養生活を送るウインバリアシオン、母ヨンハはマヨノエンゼルの半妹にあたります。青森&青森という感じの構成です。★父ウインバリアシオン・母ヨンハ 第6位は父リアルインパクト・母ゲーリックダンスの牝馬。青森・青南ムラカミファームの生産で価格は486万円。本馬は今年4月のスプリングCを制したグランフェルメールの半妹にあたりますね。父がヨハネスブルグでややスピード色が強いように感じるグランフェルメールに対しこちらはマイル以上もいけそうなリアルインパクト。その違いがどんな変化をもたらすかが気になる一頭。★父リアルインパクト・母ゲーリックダンス 第7位は父ショウナンカンプ・母ネオヴェリーフェズの牡馬で青森・荒谷牧場の生産。453万6千円でJRA日本中央競馬会が購買されましたので、育成が順調に進んだ暁には来年のブリーズアップセールに登場してくるのではないでしょうか。 本馬の半姉ライズインザノースが6月20日の門別2歳認定未勝利戦を勝っております。★父ショウナンカンプ・母ネオヴェリーフェズ★ライズインザノース(6月7日出走時) 第8位は父ケープブランコ・母カディッシュ。新ひだか・タイヘイ牧場の生産馬で410万4千円。本馬もJRA日本中央競馬会がご購買。 本馬の祖母はカディザデー。ということは母カディッシュはサニングデールの半妹になります。その血統も目を惹きますが、本馬はそれだけでなくお腹の所の白斑も印象的。★父ケープブランコ・母カディッシュ もう一頭挙げておきましょう。父ウインバリアシオン・母エムケイミラクルの牝馬。つまりマヨノエンゼルや先に出てきたヨンハの半妹という馬です。生産は青森・佐々木牧場。落札額は108万円。 マヨノエンゼルの下という事でもあり興味を持っていた岩手の調教師さんもいたようなんですが、結局ガジコレーシングさんが落札されております。★父ウインバリアシオン・母エムケイミラクル 今年の八戸市場の売上額は9,234万円(税込)。1億を超えた昨年には残念ながら及ばなかったものの、売却率77.8%は八戸市場の過去最高。また、少し見方を変えるならば、上場頭数が同じ36頭だった2014年が売却率50.0%・売上額5,087万8千円だったのに比べると大幅に良化しているとも言えます。 馬の価格の高騰と馬不足が言われる昨今、八戸市場に目を向ける関係者も増えているようです。上場馬の質に関してもおおむね好評だったような話を各所で耳にしました。上場頭数が減少傾向にあって先行きの予断を許さない八戸市場なのですが、こうして好評を得続けることができるならば、八戸市場の他の市場とは違う立ち位置もまた存在し続けるのではないでしょうか。 ひとつ心配なのは松橋参事の不在です。八戸市場だけでなく全国のセリ市に姿を見せ、独特のテクニックをもって“名物鑑定人”の評判も高い松橋さんなのですが、今年のセリシーズンを目前に体調不良に陥り、結局地元である八戸市場にもついに姿を見せることができませんでした。自分も松橋さん以外の鑑定人が運営する八戸市場を見るのは初めて。どうしても寂しく思えてしまいます。 松橋さんは単にセリの鑑定人というだけの役割に留まらず、とりわけ青森産馬は生まれた時どころかそれこそ種付けの時から知っていて、絶えず生産者と相談しながらセリに送り出している、八戸市場とまさしく一体といえる存在なのです。 そんな存在が不在となってしまうと、セリだけではなく青森の馬産そのものにも大きな影響を及ぼしてしまう・・・と言っても全く過言では無い。松橋さんが元気になって、再び鑑定台に立てるようになることを切望しつつ祈っております。★今年は不在だった松橋参事