親権者と子の利益相反行為その2
親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その1人と他の子との利益が相反する行為については、その一方のために、特別代理人選任(大魔神訳)の規定を準用する。さてさて、これは前回の続きですが、子供が複数いる家族のうち、片親が死亡した場合を想像すればわかりやすいでしょう。この場合、法定相続人は被相続人の配偶者とその子なのですから、例えば、1人の子の代理人として相続を放棄しようとしたり、遺産分割協議をしようとすれば、その子と他方の子とが利益相反関係になりますね。したがって、こういう時は他方の子のために特別代理人を選任するように家庭裁判所に請求することになる訳です。複数の子をまとめて代理することはできませんよ。但し、親権者が子供全員のために相続放棄をする場合、あらかじめ親権者自ら相続放棄をするか、子と同時に相続放棄をすることは、利益相反行為には当らないとする判例があります。また共同親権者の1人(父なら父)とだけ子が利益相反関係にある場合は、もう1人の親権者(母なら母)の単独代理は認められず、そのもう1人の親権者(母)と特別代理人との共同で利益相反行為を代理させる必要があります。こういうルールを破って、利益相反行為について、親権者が未成年の子を代理してしまった場合は無権代理となりますから、その子が成年になったうえで追認するのでなければ、子本人には効力は及びません。当然ですよね。このルール違反があまりに程度が大きかったり、頻度が多かったりしたら・・・、恐ろしいことになります(寒っ)。その答えはまた今度お話しましょう。遺言相続応援団はこちらです。離婚問題応援団はこちらです。