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カテゴリ:法律
困っている人を助けたいという人の善意に付け込んで金品を騙し取る行為は許しがたいし、もしそんな行為を見つけたら、多くの人が反吐が出る気持ちになるだろう。
そしてまあ、そりゃあ、緊急事態宣言のせいで国民経済は大変な打撃を受けているのだから、その影響が社会の隅々に現れ、伝統芸能にまで及ぶのも想像に難くない。 報道によると、落語協会と落語芸術協会が存続の危機にある都内5軒の演芸場の支援をインターネット上で募るクラウドファンディング(CF)を実施したところ、わずか4日間で目標金額の5千万円を超す金額が集まったらしい。 そもそもこの手法、落語を愛するセクシーな国会議員らが音頭を取って実施したようだが、なんだか、政治家も落語家の側も、ちっとも粋じゃねぇんだよなあ(それでも、寄付した人は粋ともいえるので、細かいことは差し控えるが)。 このニュースを見て、実は、世間でしばしば募金詐欺まがいの反吐が出る行為が見受けられるのを連想したので、ちょっと書いてみたのだ。 ところで、刑法で言うところの詐欺罪は「人を欺いて財物を交付させ」る行為だが(文語体のかつての条文でいうと「人を欺罔して財物を騙取したる」行為)、この行為の欺罔性を立証するのが難しいため、実は詐欺師が我が物顔になってしまうのだ。 ちょっと難しいのでわかりやすく言うと、詐欺師が「俺はダマしたつもりはない。」と主張した場合、「いや、それは嘘だ。お前はダマすつもりで騙し取ったのだ。」という主張を客観的な証拠(エビデンス)によって証明することは難しいということだ(だから詐欺罪の立証は難しいし、詐欺師は涼しい顔をしている訳だ)。 例えば、不特定多数の人から誰かが800万円を騙し取ろうとしたとしよう。 その場合に贅沢をしなければ200万円の支出で済む事柄に対し、「1000万円必要です。だから皆さん寄付をお願いします。クラウドファンディング風で。」などと言ったらどうか。 まあ、善意の人さまから集めたお金で贅沢をしようなんざ、日本人の日常会話では「詐欺師かよ。」と言いたくなるところかもしれないが、残念ながら、その贅沢の部分を「必要な支出ではなく、ダマそうとして、騙し取ったものだ。」と証明するのは容易ではない(支出のそれぞれに理由を付けられたらちと厳しい)。 したがって、「普通、人さまからお金を恵んでもらうなら、できるだけ少なくしようと努力するのが日本人じゃない?」と言えるにとどまる場合が多いだろう。 しかも、その誰かが別に金銭に困窮している訳でなくても、「俺みたいな金持ちになりたければ、教えてやるから本を買え。」などと言っていても、募金を使って高級ステーキを食べて「う~ん、美味しい」などと卑しくホザいても、である。 おそらく、こんな奴は美意識の欠片もないので、人にとって大事な感情では動かず、犯人の常套句「証拠(エビデンス)を出せ。」とでもいうに違いない(罪を背負ったものだなあ。お天道様が見ているというのに。)。 あなたの周りにこんな人いたら、気を付けよう。 <今夜の1曲:INXSの「Original Sin」> ほらよ、これだろ。馬鹿が。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024/09/30 06:58:42 AM
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