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しかしここ数年でこの状況も変化が現れてきました。第一にスカパーが沢山のリーグ(サッカーコンテンツ)を放送するようになったために、セリエAを全試合放送することが物理的に難しくなってきたこと、第二に日本のサッカーファンの目が肥えてきたことから、日本人選手の所属クラブ全てに注目が集まらなくなってきたのです。
そうなって困るのはB社です。B社は中堅以下のクラブがほとんどであり、セリエBからの昇格組みもほとんどがB社に委託をしていました。クラブの数でスケールメリットを出してセールスしていかなければならないB社にとっては日本市場が冷え込むと打撃を受けます。そこでB社は契約するクラブに対し日本人選手を獲得した場合としない場合では放映権料の分配率を変えるという方法を考え出しました。その結果、日本人選手に目を向けるクラブの多くはB社に所属する傾向が強くなったのです。さらにB社の05/06シーズンの権利を買ったのはスカパーではなくIT関連企業となったことも多少関係しているといえます。後発の場合は得てして大きな予算を持ってオファーをするからです。 加えてEU枠外の外国人選手の制限が年々厳しくなっていますが、例外としてセリエBからAに昇格した場合はその枠が大きくなっています。ですからペトリッカ氏を初めとするイタリアの代理人の方々がセリエBからAに昇格した(する)チームを中心に日本人選手の獲得を検討するのも当然のことといえます。ジェノアの今野選手、トリビーゾの宮本選手、石川選手、サンプドリアとメッシーナの柳沢選手など、これらの話は基本的にその点で合致しているはずです。レッジーナの中村選手、ペルージャの中田選手も、もしかしたら合致しているかもしれません。 しかし、欧州の一部の小さなクラブを除いては、「日本人の獲得=経済的なメリット」、いわいる「中田選手のペルージャ伝説」を考えるところはなくなって来ました。中田選手のペルージャへの経済波及効果は確かに大きなものだったと思います。しかしこれは、中田選手が所属していたからではなく「活躍」していたからです。この点が非常に大きなポイントであることをまずは理解していただきたいと思います。 イタリアでは監督よりもクラブ主導で選手を獲得して行く傾向があると強く感じています。これは一種伝統的なものなのかもしれませんが、このことが日本人選手にとってはマイナスな結果を生んでいると私は思っています。確かに、監督に気に入られて移籍しても、WBAに移籍直後の稲本がそうであったように、監督が交代することによって苦しい立場に追い込まれてしまうこともあります。しかし、監督が気に入らなければ、起用することは絶対にないわけで、当社が選手を移籍させるときは国内外を問わずこの点を最重要項目としています。(最近、激しい攻防をしたフランスのクラブはGMが選手起用に絶対権限を持っていましたが、こんなクラブが強くなることはありえないと確信しています。) 誤解の無いように言っておきますが、そういうイタリアの手法や伝統が悪いと言っているわけではありません。何百年もフットボールの歴史があるのに、監督が変わったわけでもない、選手が技術的に劣っているわけでも絶対的に無い、なのに完全移籍で獲得して複数年契約をして、まったく試合で起用する気配を見せない、揚句の果てに半年でレンタル移籍、というのはどういうことなのだろうかということなのです。何百年も歴史あるクラブのスカウトの目が節穴か、それとも別の目的があったかどちからでしかないと考えるのが普通ではないでしょうか? 最近はフランスリーグアンでもクラブが放映権の所持を主張する動きがあると聞いていますが、現状、クラブ自体が海外放映権を所持出来る仕組みになっているのは、欧州の大きなリーグではいまでもセリエAだけだと思います。 ですから【移籍する】ということに限って言えば「契約が残っていればクラブが有利、契約が無ければ選手が有利」ボスマンルールのバランスはここにあるのです。ですから、契約が半年でもあれば所属元クラブが移籍を渋っても当然、フリーで獲得した選手を高額な移籍金で売りつけようとしてもそれもまた当然だといえます。契約とはそういうものであり、契約に対しての厳しさは日本の比ではありません。欧州でプレーするということはこういった一面もあるということなのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.02.23 23:15:38
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