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カテゴリ:家族と愛情
今年の夏は、わが家にとってはいつもの夏とは景色の異なるものでした。 毎年「夏恒例のお盆休みの行事」といえば、shi-の実家へ帰省し母と過ごす故郷の楽しい日々。 帰省しshi-の実家へ着くと、そこではいつもshi-の母が遠方から到着した私達のことを満面の笑みで、しんどかったでしょうに歓迎のため、美味しい料理をたくさん作って待っていてくれました。 yu-は家の裏にある桜の木で喧騒に啼く蝉を捕まえることに夢中になり、chi-は祖母(母)から料理を教わり一緒に夕飯の支度をしたり、shi-も久々の実家で母とそこで暮らしていたときことを懐古し、いろいろな思い出話を母と談笑しながら話したりしていました。 私は、母の手に余る古くなった家の修理をしたり、植栽の剪定(これは今年もやりましたが)をするくらいで、あとは気ままに読書をしたり、昼寝をしたり、日常では考えられないくらい貴重な時間を過ごさせていただくことが出来ました。 そんな母を含めた5人で過ごすお盆休みは、私達にとってとても居心地の良い、そして変わるはずのない、いつもの夏の風景でした。 今年5月、私達に家族にとっては他に比類の無い悲しみに包まれました。 shi-の母の急逝。 大きな持病を抱え、25年以上にわたり想像を絶する闘いを続けてきた母。 誰にも大きな迷惑をかけることも無く、shi-をはじめ母のことを心から大切に思う人々に看取られて、静かに眠りにつきました。
母の家の整理をしていると、母の少女の頃の古いアルバムが出てきました。 「あれ、shi-に似てるなぁ。」 shi-はどちらかといえば、お父さんの方似ているとずっと思っていたので、その古いアルバムのなかの母を見て少し驚きました。 古い写真以外にも、いろいろと母の人生の道のりを示す物や書、またそうしたものの整理された状況などから、改めて美しく生きた人であったこと、母の生き方に学ぶべきことがたくさんあること、現在、shi-の中に母のその生き方や性格、気質の一部が確実に受け継がれていることを知り、妙に感心し、また納得をしました。
部屋の壁に飾られていた数十枚にも及ぶ写真の数々。 少し色の変わってしまった写真には、おどけたポースで笑いを誘うyu-や、慣れない手つきで母と料理をする幼いchi-、既に他界している父や私達家族と旅行へ行ったときの楽しい思い出の写真ばかり。 これらの写真、大切に育てていた花や木、毎日使っていた食器、化粧品、歯ブラシ・・・
主を失った母の家では、母、それに父、そこに私達を加えた家族の談笑が聴こえることはもうありません。 蝉捕りに夢中になっているyu-に、家の中から「yu-くん、yu-くんスイカが切れたよー」と呼ぶ母の声も、「chi-ちゃん、ちょっと運ぶの手伝って」という母の声もありません。 shi-にしてみたら、もっともっとたくさんの母の声、父の声、たくさんの思い出が詰まった家。
ひとつのことが終わりを告げた夏。 わが家の庭には、サルスベリの木があります。 きっと来年の夏も、その次の夏も、同じように薄桃色の花を咲かせます。
終わりがあれば、始まりもあります。
いまを生きている私達は、いまを幸せに生きぬいていくことで なき母、そして父への感謝の気持ちを表していこうと思います。
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Last updated
August 23, 2009 10:29:51 AM
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