棋譜並べを考える2
もうすぐ日本囲碁年鑑が出る季節。(韓国囲碁年鑑はついに出ず?) 私は上級以上の生徒たちに囲碁年鑑を買って並べるように薦めていますが、買ってはくれるのだけどどうも実行している人は少ない。というか、ほとんどいない?もちろん囲碁年鑑を全て並べるのはかなり時間がかかるからそこまで頑張れないということなんでしょうが。それでも1日1局並べていけば1年を待たずに並べきれます。一日30分、極端に大変な作業とは思いませんが。 囲碁年鑑並べのよいところは、解説があまりなく、自分でいろいろな発見をできるところです。私が囲碁年鑑を並べだしたのは初段くらいだった高1のころ。1993年の囲碁年鑑でした。訳も分からず並べいてましたが、次第にいろいろなことが見えてきて楽しかった覚えがあります。 例えばそのころは大竹英雄九段や加藤正夫九段が黒番で向かい小目をよく使っていました。大竹先生は、5手目はカカリが多くて加藤先生は片方をケイマにシマる。そんな棋士の打ち癖が発見できるだけでもなんだか楽しいもの。加藤九段は向かい小目を拒否されると今度は必ずタスキ小目にして、いわばシステム布石になっていました。こういうのは沢山並べていかないと発見できないものです。 またそれぞれの布石からその後の進行、定石選択にパターンがあるのもわかってくる。正夫流向かい小目に対して、白は6手目で一間ガカリし、黒はツケヒキ定石を選択。白はカケツギのほうのツケヒキ定石を選ぶ。などなど。はじめは、こういうときはこの定石ばかりうつなぁ、という程度の認識だけど、そこを基点にだんだんその選択の意味が見えてきたりして、非常に勉強になります。上の例だと、「挟まないのはシマリの方向が悪いからかな?」とか「カタツギでいくと黒からの2間の詰めが残るから、間合いを外す意味でカケツギなのかな?」なんてことを考え出すものなのです。 英語教材でひたすら聞くというのがあるけど、囲碁でもひたすらよいうち方を並べまくると吸収できるものがあります。説明を読んだり聞いて理解するのも大事だけど、一番大事なのは石を見て石から感じることだと思います。解説のあまり無い棋譜を沢山並べるのは、継続さえすればよい勉強法だと思います。