トランクルームの大阪オヤジ、転業して丸10年・・・(涙)
忘れもしません・・・今からちょうど10年前の2006年3月31日に、祖父の代から約60年続いた織物製造業を廃業しました。それから10年・・・アッと言う間でした。廃業宣言は、その1か月前の2月28日。それまでは一切その情報を家族以外漏らさず、まず従業員に知らせました。そして銀行、取引商社、仕入れ先の順に知らせました。親戚や友人や知人はその後でした。特に、従業員に廃業を伝えるのが一番辛かったですねェ・・・話しているうちに、感極まって不覚にも涙がこぼれてしまいました・・・大人になってから人前で泣いたのは、これが初めてです。一生一代の「宣言」ですから、色んな事が頭を錯綜し、前日の夜はなかなか寝れなかったのは言うまでもありませんでした・・・丸一日かけて、順次連絡をしていきましたので相当精神的に疲れました・・・廃業を決意したのは半年前の前年10月上旬で、それから順次受注量を調整し、機械の部品在庫を減らしていきました。廃業宣言日まで土日関係なしに24時間フル稼働していましたので、誰も気づきませんでした・・・実際、3月中旬までそのままフル稼働で、24時間稼働のまま残り2週間で、1台づつ織機がボチボチ止まり出して、最後の3月31日18:00に工場が完全停止した時は、タテ糸が半反残っていただけでした。自分でも驚くくらい緻密かつ計画的に計算した結果、最終的にたった縦糸55mだけしか残らなかった結果に大いに満足しました。倉庫には糸も織物も在庫ゼロで、文字通りスッカラカンの状態で、翌日の4月1日には従業員が誰も来る必要はなく、私ひとりでガランと音のしない工場で廃業の実感を感じたものです・・・子供の頃から、年中「ガチャガチャ・・・」という音で育ってきた者にとって、シーンとした工場なんて想像外でした。ちょうど、お百姓さんが台風被害で作物が全滅したのとよく似た心境です。この時の心理状態を何と表現すればいいのでしょうか・・・寂しいとか、情けないとか、悲しいとか、不安とか・・・体験したものでないと分らないでしょう・・・しかし、一方で苦しかった織物業から解放され、晴れ晴れ?した気持ちもあり、「イヤ、そんな事を考えてはダメだ!」というそれを打ち消そうと葛藤する心も反対にあり、何とも言えませんでした・・・いずれにしても、「トランクルーム」という全く新しい仕事にチャレンジすべく行動を起こさないといけませんので、廃業宣言をした翌日の3月1日から工場が全面停止した31日までの1ヶ月間、織機や設備関連の売却(輸出)交渉とトランクルームへの改造プランで工務店との細かい打ち合わせで忙殺されました・・・私が41歳の時に父親が急死した時と同じように、ユックリ想いに耽っている間もありませんでした。中小零細企業のオーナー経営者というのは親の子供であり、子供の父親であり妻の夫という立場ですが、会社が非常事態の時は全身全霊で会社経営に取り組まないと、現実問題トテモ難局を乗り切る事は出来ません・・・父親急死の時はまだバブルの余韻が繊維業界に残っており、今回の廃業時も幸い北京オリンピック前の中国経済が絶好調でしたので、そこそこの値段ですべて売却できました。これが2年後の2008年だと、リーマンショックですべてがパーでした。まァ、たまたま運が良かったんですねェ・・・(涙)。そして売却先が決まり、何億も掛けた機械設備が大きなフォークリフトで次々と運ばれていきます・・・織機に付着した微塵や油が、私の涙を誘います・・・(涙)。織機にそれぞれ番号が付けてあり、その番号を見ると、20年間の思い出が次々と浮かびます・・・そうなんです・・・人間と一緒で織機にも「クセ」や「特徴」があったのです・・・わが娘を嫁がせる父親の様に、「中国で頑張ってや・・・」「これまで稼いでくれてありがとう・・・感謝してます・・・」・・・地下ピットを埋め、空調機のファンの解体、コンプレッサーの搬出、高圧電気室(トランスや分電盤)の解体、検反器と梱包器の搬出、ワインダーの搬出、掃除ロボットとモノレールの取り外し、配管の取り外し、ダクト類の取り外し・・・新工場建設時に苦労して設計導入したものが次々と撤去されるのを見て悲しくなりました・・・(涙)。400枚もあった倉庫のパレットは、半分は知人に無料で引き取ってもらいましたが、半分は軽トラに積んで自分で岸貝クリーンセンターに何十回も運んで廃棄しました。2階の4.5mまで揚がる3段マストのフォークリフトは最後まで処分に迷いましたが、結局トランクルームでは邪魔だと判断して、業者にたった10万で売却しました・・・(涙)。フォークリフトを買うと同時に免許を取り、ほぼ毎日乗っていましたので、今でもコレで飯を食う自信があります・・・(笑)。これこそ、正に免許より実践です。先祖代々長年業者間ビジネスしか知らなかった織物オヤジだった者が、エンドユーザーとの直接ビジネスのトランクルームオヤジへの「転換」は、当たり前の事ですが、49歳という精神的肉体的な年齢的な事も重なって、当初相当苦労と痛みを伴うモノでした・・・(涙)。これまでの経験や実績を全否定されたようなもので、チラシやカタログをマンションの集合ポストに配布していると、警備会社や警察に通報されたり、目の前でゴミ箱に捨てられたりすると、人格まで否定されたような気がしました・・・(涙)。またトランクルーム開業後の3か月間は殆ど集客出来ず、ついに同業他社の織物工場で再び製造現場で働かなくてはならなかった時は(結果的には1年半も働いた)、ホントに「何でまた?」という気持ちで精神的にドン底でした・・・(涙)。しかし、下の子供がまだあと1年間学費が必要でしたので、授業料を支払う為に働かざるを得ませんでしたので、「よっしゃ!もうひとガンバリしよう!」となった訳です。人間、ある程度プレッシャーがなければ働かないモノです。まァ、そんな経験も今となっては笑い話で済んで、ほんまヨカッタです・・・(涙)。転業後しばらくはお客もなく収入もなかったので、仕方なく他社の織物工場で1年半働きながら、そのうち9か月間は朝2時に起きて宅建の受験勉強をしてシンドカッタですが、宅建に合格したらファイナンシャルプランナー資格も取り、1年後にコンサルティング的な不動産屋も開こうという「新たな希望」がありましたから頑張れたのでしょう・・・しかし、全く素人から始めたシンドイ宅建の勉強も一発で合格しなかったら自分の才能に見切りをつけて、「他の道」を探そうと心に決めていました。それほど、受験勉強がシンドカッタのです・・・(涙)。毎日12時間のキツイ肉体労働の後で実質4時間半の睡眠時間しかとれず、50歳で初めて耳にする専門用語に戸惑いナカナカ頭に入りません・・・何回読んでも理解できませんでした・・・(涙)。トイレの四方や食卓前に暗記事項を貼り、車に乗れば音楽ではなく宅建CDを聴いて、夢にまで宅建用語が出てきたのは言うまでもありませんが、家族は黙っていますが、さぞ迷惑していたのだろうと思います・・・過労と疲労でいつも睡眠不足の状態でしたので、早朝の勉強に目薬とガムが必須で、時には鼻から吸引する目覚まし剤も使ったり、平手で自分の頬を思いっきり叩いたり、痛みで目が覚めるように剣山を手の甲の下に置いたりしました・・・この時思い出したのは、極真会の大山倍達の山籠もりの経験談や、ウイッキーさんがスリランカら出てきて睡眠時間2時間で東大首席で卒業した話でした・・・(涙)。この話を思い出し、「これくらいの努力は、彼らに比べれば大したはない!」と自分に言い聞かせるのでした・・(笑)。受験勉強開始3か月後に方針を大転換して、「順番に理解して覚える事をやめ(時間が掛りすぎて試験日に間に合わない)、勉強範囲を狭くして過去5年分だけの問題を100回繰り返そう!」という戦略に賭けたのです・・・問題を読み、直ぐに解答を読む・・・100回は無理でしたが、3,40回は繰り返している間に自然と覚えてしまい、不思議と理解もできるようになりました・・・試験当日は、模擬試験を受けていなかった為、開始後30分も頭が真っ白になってしまいましたが、知らないうちに「地力」が出来ていたのか、ボーダーラインより2点オーバーで何とか合格できました。この経験で得たのは、最終目的からの「逆算」の重要性です。若い人でも時間は無限ではなく、有限です。ましてや、オッサンには残された時間が少ないのです。何をしたいのか(目標)? 自分の知力&体力&財力(資力)は? 残された時間は? この3つのベクトルは合っているか?努力している過程で、「このままでは試験(目標)に合格できるのか?」と逆算すると、おのずと今の行動(努力の方向性)を見直しをせざるを得ません。8年前に不動産屋を開業してからも、張り切って自分なりにイロイロと試行錯誤と努力を積み重ねてきましたが、今の貝塚市に絞った「狭く深く」というスタイル(仲介のみ)にしたのは、ここ3,4年の事です。そして、今年に入り「レンタル音楽スタジオ」を開業したのも、正に人生の「逆算」発想からでした。今年還暦を迎えますが、これまでの人生を振り返ると、もう充分に仕事をしてきました。子供時代からの家業の手伝いも含め、時間的にもう人の3,4倍は働いてきたでしょう・・・日本人男子の平均寿命の80歳で、この世を去ると考えて「逆算」すると、悔いに残っている事がいくつかあります。残り20年(しかし体力&知力はこれから増々下り坂で、病気も増えてくる)・・・たった20年と諦めるか、まだ20年と食らいつくか・・・事実は一つ、考え方は二つ。その中で「実現可能」な事として、音楽をヤロウ!と考えたのです。その手段として、レンタル音楽スタジオをトランクルーム内に作ろうというアイデアが浮かんだのでした・・・ここもポチッと押してください!ご協力お願いします!にほんブログ村 にほんブログ村にほんブログ村 大阪府 ブログランキングへ