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カテゴリ:ワタクシ事
いつものように突然、Aさんからメールが届いた。
「今、仕事でフィレンツェにきています。あさっての朝までいるので連絡が取れれば嬉しいです。」 前置きなしの突然のメール。あさっての朝まで...。 私の時間が空いているのは今夜だけ。会いたいなぁ。 このAさんこそ、私が初めてラブホテルで一夜を共にしたお相手なのだ。 **************************** あれは高校生の頃、私はAさんと長崎を旅行した。 飛行機のチケットだけ取って、あとは無計画な旅だった。 夕食は長崎ちゃんぽんの美味しい店でたらふく食べて その後夜景を見に、ロープウェイで山の上まで行って そこで素晴らしい夜景を見ながらロマンチックな夜を過ごした。 ***************************** Aさんは現在は仕事で各国を飛び回る忙しい生活の中 フィレンツェに数日滞在する時には必ず連絡をくれる。 今回は特に忙しいスケジュールのようで、 夕食後も翌日の打ち合わせのためのミーティングがあって 遅くなってしまって申し訳ないけれど その後でもよければ是非会いたいと言ってくれた。 私達は夜10時過ぎにAさんの泊まるホテルのロビーで待ち合わせた。 お互い結婚してからは初めての再会。 私がロビーのソファに座っていると、スーツ姿のAさんが仕事仲間とエレベーターから降りてきた。 「久しぶり!元気そうだね。髪の毛伸びたね。 今日は来てくれてありがとう。悪いけどこれからロビーで打ち合わせだから 部屋に入って待っていてもらってもいいかな?寝てていいから。」 と言って私に部屋のカードキーを渡してくれた。 別に1階のバーで待っていても良かったのだけれど お言葉に甘えてお部屋で待つことにした。 ホテルの部屋はキレイで、私はブーツを脱ぎ捨てベッドに足を投げ出して テレビのスイッチを入れオリンピックの中継を見ながらまるで我が家のように寛いだ。 「部屋で待ってて」のひと言をとてもありがたく感じた。 ********************************* 満点の星空と、山の裾野に広がる家々の煌く灯りをずっと眺めていたかったけれど 長崎の夜は更けて行き、最終の折り返しロープウェイに乗り込んだ。 宿は取っていない。 私達はタクシーに乗り込んで運転手にどこか適当な宿が無いか尋ねた。 しかし、運転手は「この時間ではねぇ。」と唸るばかりで なかなか答えを出してくれなかった。 そして「お客さん、悪いけどこういった宿しかオススメできないよ。」 と言って降ろしてもらったのは寂れたラブホテルだった。 Aさんの腕にしがみついてフロントに向かい、 お互い顔が見えないように目隠しのついた窓口で 「休憩ですか?宿泊ですか?」とオジサンに聞かれた。 が、その後、私達を見たフロントの窓口の人の動きが止まったのがわかった。 「宿泊でお願いします。」 と私達。 あのぅ~...とオジサン。 私達は黙っていた。 何故なら、オジサンは目隠しカーテンの裾から見える 私達の6本の足を見ているのを知っていたから...。 「あの~、3人御一緒?」 実は...この長崎旅行はAさんと、Mちゃんと私の仲良し女3人旅だったのだ。 それまでモゾモゾとオジサンの反応を見ながら 最悪の場合 「レズ3Pですっ!」 って訴えようと思っていた私だけど イイ人そうなオジサンに事情を説明してみると 目隠しカーテンを開けて私達を見てニッコリ笑って 「じゃぁ、1人2000円ずつでいいよ。」 と宿泊を許可してくれた!!! 寝床ゲット!! 足取り軽く部屋に入ると、畳の和室が2部屋あり 手前の部屋にはテレビとコタツがおいてあり、 奥の部屋には大きなベッドが置いてあった。 ひとりずつ鏡張りのお風呂に入ってシャワーを浴び 待っている二人はコタツに入ってテレビをつけた。 ら、全部エッチチャンネルだった...。 シャワーを浴びてスッキリしたら 大きなベッドに3人川の字に寝っころがって いろんな振動タイプのスイッチを押しては それを体感してゲラゲラ笑った。 私達は初体験の異空間を楽しみながら殆ど寝ずに朝を迎えた...。 ******************************* Aさんはそれから1時間近く経って、やっと部屋に帰ってきた。 「ごめんねぇ~!待たせちゃって。オヤジの話が止まらなくてさ。」 それから私達は、部屋のミニバーの飲み物で乾杯して 近況報告から同級生の噂話やら、限られた時間いっぱい喋り続けた。 そして最後に、長崎に一緒に行ったMちゃんは 中国に留学した後、音信不通だよねぇ~と お互い彼女の近況はわからないままだった。 「DeliziaちゃんがフィレンツェからMちゃんの実家宛てに手紙書いてみてよ。 その方が私が日本から手紙送るよりインパクトあるから。」 メールの時代に突入してから、手紙なんて殆ど書かなくなって いろんな人との連絡が途絶えてしまったけれど こうやって機会を見つけては手紙を書いていくのもいいかもしれないなぁと思う。 久しぶりのAさんとの再会も名残惜しいながらもお別れの時間がきて 私はタクシーを呼び、お互い「旦那様によろしく!」と言ってサヨナラした。 楽しかったなぁ、高校時代...。 瞬く間に過ぎていく時をこれからも大切に過ごさないと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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