フィレンツェの夕暮れ
以前大学の卒業旅行でフィレンツェのドゥオーモに登って温かな朱色の屋根が一面に広がった街の景色を見てうわぁ、こんな街に住んでみたいなぁ!と一瞬思ったことがある。別に本気で思ったワケではない。ほんの一瞬思っただけ。フィレンツェを後にしてヨーロッパ列車の旅は続きいろんな街を見て、フィレンツェの印象は薄れつつあったけどこの旅で7カ国まわって、住んでみたいなぁと思った街はフィレンツェだけだった気がする。全然根拠はない。なんとなくスキだっただけだ。日本の大学も、特にこれが学びたいと思って選んだわけではない。高校時代から入りたい会社があって、その会社に入る前に少ない選択肢の中から「食べ物」について学べる学科を選んだだけだ。あの頃、今の自分の生活なんて想像できなかった。なんとなくスキな街で、10年ほど前に学んだことをその国の言葉で勉強しているのだ。もしかして、今ふとスキだなぁと思ったことがあと10年後には違う形で自分の生活の一部に組み込まれるってこと?また一つテストを終え、8月前に残すテストはあと一つとなった。いろいろ頭に詰め込んで、許容範囲いっぱいになってしまうと次のテストの勉強に手が付けられないので、頭の中の空気の入れ換えをしなければならない。ひとつテストが終わる度にリラックスしにいく。フィレンツェの朱色の屋根が見渡せるところ。朱色の屋根がさらに赤く照らされる夕焼けが見えるところ。そこで想像もできない自分の10年後を思ったりしながらもうハイハイしなくなってしまったビンバと戯れる。