テーマ:ノンジャンル。(2210)
カテゴリ:たかがファッション
髪型については様々な失敗談がある。 高校の頃、松田優作に憧れ パーマネントなど施してみたものの 仕上りを見ると、どこがどう違うのかそれとは程遠い 木造の薄汚れたそば屋で暇を持て余し 下世話な女性週刊誌を読み漁るパートのおばちゃんの様になり ブルース・リーをお手本にカットした際も (丁珮{ティンペイ}カットってやつね) 仕上がりに満足し、本人は成りきっていたわけであるが 他人の目には“もんたよしのり”と映った様で いや、決して彼が悪いとかそういう意味ではなくて そのギャップがね。私のカスレた声もさることながら どうやらそちらの方が近かったらしい。 以前、一度だけ坊主頭にしたことがある。 もっとも、中学時代の二年間は校則の規定により その頭であったわけだが(途中、転校した為、二年間) いずれにしても自分の意志で丸めたのではなく やむを得ない事情により、そうしたわけである。 ハタチの頃、頭髪を七色に染め、オウムの様だった私は 非常に貧乏な生活を送っていた。 当時は金髪が市民権を得た今とは違い 髪を少し脱色しているだけでも偏見の目で見られ、職種は限られ 道路工事をはじめとする肉体労働しかなかった。 貧乏の理由は至ってシンプルで、働かないから金が無い。 イコール、貧乏。 怠け者の私は、少し働いては休み、休んではまた少し働き を繰り返していた訳で こういったダラケた精神を起因とするものだった。 そこで一念発起し、頭を丸め、心を入れ替え頑張るぞー。 などと意気込む筈もなく 料金未納により電気の供給が止められてしまった。 余談ではあるが、この滞納期間 電話の場合は約一か月で通話不可となり、電気は二か月 ガスは三か月、水道は半年で供給がストップされる。 恥かしい話ではあるが、私はこのいずれも止めらた経験がある。 さすがに水道が止められた時は 慌てて滞納料金を支払うべく水道局へ出向き 担当窓口にてスーツ姿の担当者に 料金未納による供給停止の旨を伝えたわけなのだけれど こちらが名を名乗る前に察した様子で 「あ、ゲンさんね」 うう・・・区内広しと言えども俺だけかい・・・ 自分の腑甲斐無さに落ち込んだものである。 話が逸れた。 で、電気は止められたのだけど、辛うじてガスは通っていたその日 ロウソクを灯してのワビシイ入浴。 丁度、今頃の時節で風呂上がりに濡れたままの髪は時間が経つにつれ どんどん冷えて冷たくなる。 しかしながら電気が通じていない為 ヘアドライヤーを使用することが出来ない。 そこで閃いたのがガスコンロでの乾燥。 水は収められた容器に応じてその形を変える。 人間もこれと同様、その状況に応じて柔軟に 対応出来なければいけない。 がはは。俺、頭いいじゃん。と実践してみたのだけど 炎に近い部分が熱くなるだけでいまひとつ塩梅よろしくない。 なるほど、ヘアドライヤーの場合 本体に内蔵されているファンが回転し、真っ赤になった電熱線の熱を 吹き出し口より熱風として送り出すことにより 温い空気をば直接頭髪に触れさせ、効率よく乾燥出来る 仕組みとなっている。 ならば、と近くに置いてあった雑誌を団扇代わりに 炎が消えぬよう軽やかに扇いでみる。 おっ、先程より幾分よい感じである。 我ながら細やかな解析力と柔軟な発想の転換ではないか。 と、少々有頂天になりかけたのも束の間 ボッ と引火したかと思ったら あれよと言う間にチリチリと前髪が焼け落ちてしまった。 まさに一瞬の出来事である。 漂う異臭と薄闇の中、覗いた鏡の向こうには 現在お笑いで人気のアンガールズ山根のヘアースタイル 前髪を更に短くした、まるで中国侍の様な自分が 珍妙な面持ちで視線を投げ掛けていた。 まぁ火傷をしなかったのが不幸中の幸いであるが 以上の様な理由により、やむなく頭を丸める羽目になったわけである。 しかし、さすがにスキンヘッドは抵抗がある。 8分刈りで手を打つ。 が、これがまた思わず笑いが漏れる程似合わない。 頭の形も悪いし、垢抜けない。キ○ガイかチンピ○の様である。 当然、周りの評判もよろしくない。 そこでなんとか可愛げのあるポップなものにならんだろうかと ブリーチ剤にて脱色を試みるも、今度はこれをやり過ぎて キンキラキンの黄金色。まるで金絲猴(きんしこう)。 しかし、こういった泥沼はあがけばあがくほど深みにハマるもの 自分の場合も例外なくハマっていったわけで 「この黄色い頭はエゲツない」 トチ狂った私は補色である青色を入れてみたら少しは落ち着くのでは? と考え、ロックなお店で入手した、青い染め粉でもって 更に手を加えてみた。 しかし、青く染まった髪は二日と経たぬうちに褪色し 元の黄色と混ざり、キレイな緑に変わってしまった。 それを見た友人は 「コケが生えてるみたいだね」 はい、その通り。 全くもってこの上無く、ピタリとくる描写とご意見ありがとう。 例えば石灯籠などの場合、苔が生ずることにより風格が増し その価値も上がるという。 しかし人間である自分がいくら努力してみたところで 灯籠になど成り得る筈もない。 ヤケになった私はこの後、眉も剃り落とした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006/02/02 09:37:02 PM
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