ひばかり

「本日如何なされました？」

「はあ、風邪をひきまして・・・」

「いや、風邪かどうかは私が判断することです。
　　　　　　　　　　　　　　　　　どういった症状でしょうか？」

「はい、喉が痛くて、熱が少しあります」

「いつからですか？」

「んー、一昨日辺りからですね」

「では、口を開けて、喉を見せて。
　　　　　　　　　　　　　はい、シャツを上げて。　ふむ、ふむ」

「先生、どの様なアンバイでしょう？」

医者、うむむ、と渋い顔の後、ややあって

「まぁ、心配いりません、風邪ですね」

とまあ、かような問答を繰り広げる医師もいれば
我が家から程近い場所で開業している医者など、極めて低姿勢であり
笑顔絶やさず、へこへこと頭を下げ
柔らかな口調で織り成す会話の端々
ことある毎に詫びを入れながら話す。

「はっ、元さん、お待たせしまして、すいません。
　喉見せてもらいましょうか、すいません。
　シャツを、はっ、すいません。
　じゃあ注射を一本打っときましょうか、すいません」

と、こんな具合である。


ところで今回調子が悪いのは人間でも、猫でもない。

頭脳明晰、世界を股にかけ波乗りする、我が家のパソコン。
そう、こいつの様子が、ちとオカシイ。

初めに症状が出たのは、一昨日の夜中。
とある項目を閲覧しよう、カチリとクリックなぞしたのだけれど

突如、カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ・・・

尋常でないクリック音の嵐と共に、５０余りのウィンドウが開かれる。

一体これは“なんじゃらホイ”ってこれ、古い響きだな、はは。
なんて笑ってる場合じゃあない。

もしやウイルスでは？

いや、いや、我が家のパソコンはセキュリティソフトなるものの
導入により、あらゆる攻撃に備え
万全の防御壁が構築されている筈である。

だけども、ちょっと待て。
予防接種を受けながらも、自分はインフルエンザ感染したではないか。

そこで、兎にも角にもウイルススキャン。
ってなことで、開始すべくソフトを起動するわけなんだけども
これ、時間がかかるのね。

沈沈更けたる夜のしじま、程よく眠くもなってきた。
見ると「スキャン終了後に電源を切る」
なんて気の利いたチェック欄がある。

ははん、なるほどこんな便利な機能があるのか。
これで結果を待たずとも、そのセキュリティとやらが勝手に
パソコン内部の、丁度人間で言うところの精密検査を施し
終了の後には電源まで切ってくれるってえ寸法だな。
よし、よし、節電、節電。と、こいつにチェックを入れ

ここらで私ゃ床に就くことに致しやしょう。

ところが本来、ウイルススキャンというもの
終了後に結果が出るものなのだけど
ボックスにチェックを入れたことにより
電源が落ちているのは当たり前だけれども
電源を立ち上げてみても結果が判らない。

うむむ、如何にしたものか？

疑心暗鬼の心持ちで
カチ、カチ。 カチ、カチ。

おや、問題なく動作するではないか。

と夜半まで、カチ、カチ。　カチ、カチ。

ところが、またしても程よく眠くなり始めた頃合いを見計らった様に

カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ・・・

「・・・・・・。」


追記：果たしてウイルスなのか？
　　　のんびりな私は、まだ何も調べとらんです。
　　　本日はまだ普通に動作してますが・・・？？？
　　　あ、もしかしたらストーカーチックな尋常でない数の
　　　足跡残してるかもしれませんが、不可抗力なんで
　　　何卒お許しを。
　　　ここに来たからって感染の恐れはないですよ。
　　　念の為。

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本日の空

本日、好いお天気で、仕事してるのが勿体無い。
これは、紛れも無い天然の青。




ヲシテネ。