テーマ:ノンジャンル。(2210)
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以前も記事の中で記したことがあるが、廃墟が好きである。 その昔、あらゆる場所に足を踏み入れた。 まぁ、今ではそういった冒険からも すっかり足が遠のいたわけではあるが 時折、程よい感じに朽ちた廃屋など見掛けたり 廃墟サイトなぞ覗いたりする度に、眠りかけた血が騒ぐわけで あの、世間から隔離された流れの止まった空間がタマラナイ。 ま、単なる骨董趣味から、その発掘目的で 「ヒトのモノはオレのモノ。オレのモノはオレのモノ」 といった私意でもって、労を惜しまず 足繁く通った帰来もあるのだが(犯罪です) しかし“廃墟”と一口に言っても多種多様で 例えば、管理人の有無、立地条件などにより 侵入し易い物件、し難い物件がある。 建物が措かれている状況を知るにあたり まず第一に確認するのが電気メーター。 これが取り外され、ボックス内が空であったり、動いてなければ 少なくとも人が住んでいないと判断する目安になる。 また逆の場合は住人がいるか、管理する人間がいる可能性を 示唆しているわけで 人が住んでいないとはいえ、不法侵入には変わりないので 注意が必要である。 しかしながら、上記、電気メーターによる状況判断にも例外があり 以前侵入した廃屋においては、電気メーターも取り外されており 老朽も進んでいることから、住人は居ないと判断し 踏み込んだのだけれど、懐中電燈の光を向けたそこに 新聞紙にくるまった男が寝ており 心臓が飛び出そうになった経験がある。 友人であるヨウジ(仮名)と二人、物音を立てぬよう慎重にと 玄関引き戸のガラスが抜けた僅かな隙間から 二十分程の時間を要して侵入したわけであるが、逃げ足は早いもので 男の存在に気付くやいなや 後続して入り込もうとするヨウジを押し戻し、曲芸の如くスルリと ものの数秒でその狭い隙間を潜り抜けたらしい。 後のヨウジの話によると、逃げ出す際、「おあぁおぅ」と 私が奇天烈な叫び声を上げたとのことなのだけれど 自分自身は全くそんな声を発した記憶が無い。 伸長180以上の長身であるヨウジが、崩れかかった屋根に 頭をぶつけたのは覚えているのだが・・・ 私は元来、心霊現象などに対して臆病なタチなので “ 心霊スポット ”と呼ばれる場所にはまず足を運ばない。 そういった有名な心霊物件でなくとも 例えば、建物外壁までも覆い尽くす程、ツタがからまっている様な 湿気の多い場所や、敷地内の木が異様に大きい場所なども 避けるようにしている。 また多くの人が出入りする有名な廃墟も敬遠する。 何故ならそういった場所というのは、出入りする人が多ければ多い程 ヤンキー等による破壊行為や落書きにより景観が損なわれているのは 必至で、残された物品等も物色し尽くされていて面白味が無い。 出来ることなら、誰も足を踏み入れたことのない 前人未到の秘境がよいのである。 しかしながら、そういった秘境は、往々にして民家の隣接した 侵入し難い場所にあり、侵入に差し当たっては前もった近辺の調査 例えば近所で飼われている犬の有無など把握しておく必要がある。 この、犬というのが厄介で、一匹が吠え出すと 連鎖して近所住犬の大合唱と成り兼ねない。 出来るなら犬屋敷の隣り物件は避けたいところではある。 とはいえ、中毒状態の廃墟フェチ。 “荒廃した美しき景趣、埃に埋もれた魅惑の品々”との出会いを求め 上記難関に怯むことなく、「まだよ、まだよ」と果敢に挑むのである。 侵入に差し当たり必須となるのがまず懐中電燈。 人目に付きやすい場所で用いる場合は ガムテープ等でこれの光源を狭め 光の漏れを最小限にとどめるようにする。 服装も目立たぬ地味な色合いのものが好ましく 闇に埋もれる様な黒っぽいものが最適である。 民家が隣接した、侵入難易度Aクラスの物件に押入る場合 適した天候と言えるのは やはり物音がかき消される暴風雨の夜が最適であるが 凜と澄んだ星空、月夜の晩に、侵入決行する場合 私は以下の様な方法を実践した。 例えば、荒れ果て、草が生い茂った庭などを通過する場合 どんなに気を遣って足を踏み締めてもガサガサと ことに静まり返った深夜に於いては、些細な物音でも より大きく響き渡り、不審な物音として近所住民に怪しまれ兼ねない。 こういった場合、その場所近くにまばらにでも車の往来があれば この車が通過する際の音を隠れ蓑として利用するわけである。 車が迫り来た時のみガサガサと前進し それが走り去ったらまた立ち止まり、次の車が来るのをジッと待つ。 そしてまた車が来たらガサガサ これを繰り返し歩みを進めるわけである。 これに対し 全く車の往来が無く静まり返った住宅街で侵入を試みる場合 私、独自の秘策がある。 「この際、仕方が無い」と開き直るわけではないが ガサガサと、構わず音を立て歩くのである。 しかし、ただ歩くだけでは当然ながら怪しまれてしまう。 ここがテクニックの見せ所である。 歩きながら動物の鳴き真似をするのである。 といってもワオキツネザルやシマフクロウといった 日常に馴染みのない、マニアックな類いの物真似ではなく そこいらで普通に見掛ける “ 猫 ” こいつを真似るのである。 とここでその鳴き真似を披露。 (音量が小さいのでボリュームを上げて聞いてみて下さい) ★ここをクリック★ (通常の鳴き声~サカリのついた雄猫~仔猫)この 違いを意識して聞いてみて下さい。 この鳴き真似は、例えば近所で犬が吠え出した場合や 過失により物音を立ててしまった際などにも有効であり 使い方次第では、あらゆる状況で使える万能の秘策と言えるであろう。 しかし、この秘策を実践中、全く唐突で意外な出来事に遭遇し 肝を冷やした事がある。 いつも通り慎重に侵入成功し、屋内を徘徊していたのだけれど 何しろ薄暗い中、ふとした拍子につまづき、物音を立ててしまう。 私はとっさに近くの箪笥の陰に身を潜め 「ニャ~ォゥ、ア~ォゥ」と場を取り繕う。 暫くそうして、辺りの様子を伺っていたのだけど 気が付くと、自分のすぐ左横で、「ふぅ~ん、ふぅ~ん」と 荒い息遣いが聞こえるのである。 ドキリ! その息遣いの方に目をやると、自分が身を潜めている箪笥の脇 薄闇の中に白っぽい塊が浮かんでいる。 こういった場合、人間はその実態を逸早く確認し 安心したものである。 その塊に懐中電燈の灯りを向ける。 ???? 顔? 真っ白な顔である。 その顔は、ガムテープで光源を狭め 眩しさは半減しているものの 暗闇でいきなり向けられた懐中電燈の灯りに 眩しそうに目を細めている。 私は、それをまず、顔と認識し、それから 「ああ、猫か」 と息をつくまで少々時間を要した。 気が付くと冷や汗びっしょりであった。 恐らくその猫は、私の鳴き真似に反応し 自分の縄張りを侵す侵入者とみなし 対抗心剥き出しで近寄って来たに違いない。 くわばら、くわばら。 「ニャ~ォゥ、ア~ォゥ」 後にする廃屋内から勝利に満ちた彼の声が背中で聞こえた。 ヲシテネ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006/02/26 11:44:11 PM
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