テーマ:ノンジャンル。(2210)
カテゴリ:生き物
★アブの受難★
アブって奴は実に不快な野郎だ。 白昼堂々、人様の頭の周りをぶんぶん飛び回りやがって 隙あらば血液などちゅうちゅう戴こうってえ寸法だ。 「目には目を」なんて言葉があるが だからって崇高な人間様が アブごとき腐れフンドシ野郎を捕まえ ちゅうちゅうやるわけにはいかない。 そこで今回ここに紹介するのが“元流アブ撃退法”である。 この場合、手網若しくは素手にてなるべく傷付けない様 生きたまま捕らえるのが好ましい。 ところが人々は、あのぶんぶんという羽音を聞くと どうも蜂と混同するらしく、おののき身を縮込め 成す術も無くなる様である。 しかし、ここでハッキリ断言しておこう。 あんなものは恐るるに足らん、蠅や蚊を大型にしただけのもの 言うなれば、虚勢を張りイキがる単なるチンピラである。 にも関わらずこれみよがし 「俺は蜂だ!」と言わんばかりにぶんぶんとやる精神が 癪に触るわけで 実際、体色など蜂に似せ擬態している種類もあるようだが 要点さえ押さえてしまえば識別は容易 わたしに言わせれば「全てお見通し」なのである。 よってぶんぶんと迫り来るアホウに対し 私はなるべく素手で捕らえるようにしている。 捕らわれてしまってから慌てても 文字通り“飛んで火に入る夏の虫”後の祭りである。 捕らえた蜂モドキはまず、あのぶんぶん小癪な羽をむしり取る。 更に手足をもぎ取る。 そして仕上げにちゅうちゅう血を吸う為に備わり 突起している管をも引き抜く。 これにて生きたまま放置するわけであるけれど 日向に置いてしまうと暑さによりあっけなく死んでしまうので そっと優しく日陰に置いてやるのである。 さあ。皆さんもやってみよう。 そして身じろぎひとつ出来ぬアブ殿に耳を傾けてみよう。 ぷ、ぷ~ん 弱々しく儚げな羽音が聞こえるはず。 え?残酷過ぎる? わっはっはっ、あたしゃ、ちくとも思いませんよ。 しかし、アブにゃ生まれ変わりたくねえなぁ・・・ ★蜻蛉男★ 雲一つ無い青空を背に悠然と飛び回るトンボの姿を見かけると 童心に帰り網を振り回したくなる。 あの透き通った小宇宙のような複眼とカラフルな体色 スマートなプロポーションは まさに自然が創り出した芸術品である。 小学生の頃の話である。 その日も手網を片手に自宅より程近い小川に出向き トンボを追いかけていた。 狙う獲物はギンヤンマ。 素早しっこくなかなか手強い相手である。 汗だくになりながら網を振るも難なくかわされかわされ もはや無理かと諦めかけたその時である。 どこからともなく現れた雄雌つがいのギンヤンマ。 二匹はつながったまま水面近くをゆっくり飛びつつ 時折、水際に群生する葦の根元に止まり 一つ一つ丁寧に卵を産み付けている様子である。 わたしは獲物を狙う肉食動物の如く息をひそめ 気付かれぬ様慎重に間合いを詰める。 飛んではとまり、とまってはまた飛び立つ彼らをじっと見据え ここぞと見極め全霊をかけ手網を振る。 「やった!」 と、勢い余って水没した手網の中には色鮮やかな二匹の芸術品。 手にしたそれらを眺め、尿漏れしそうな程に嬉しい。 いや、実際に二、三滴は漏れたかもしれない。 何しろ憧れのギンヤンマが、しかも雄雌つがいで手中に在るのである。 苦労の末、獲得した本物には ショップ等でソツ無く買い求めたそれとは全く違う味わいがある。 こういった達成感や感動は子供にとってかけがえのない宝ではないだろうか。 ところでこの、ギンヤンマ及びその近似種は オニヤンマやシオカラトンボ等 雌が尾先を水面に打ち付け産卵するタイプと異なり 尾先に備わった、丁度猫の爪を細くした様な そしてその湾曲をより緩やかにした形状の、鋭い産卵管を 水面に浮かぶ水草や葦の茎等に差し込み産卵する生態を持っている。 当時それを知っていたわたしは 「どれどれ」(※注1) と観察すべく雌の尾先を自分の人差し指に当てがってみる。 すると雌は我が指に尾先を這わせ 産卵出来そうな場所を探している様である。 と、その時 ぶすっ と嫌な感触。 見ると産卵管が突き刺さっている。 そう、つまりわたしは指先とはいえ体内に トンボの卵を産み付けられてしまったのである。 「ひっ、ひいぃっ!」 まあ、その後、約一週間程痒みが治まらなかったのみで 何てことなかったのだけれど、大好きなトンボとはいえ 気持ちのよいものではない。 あの時わたしの体内に産卵された卵はどうなったのだろうか? やはり孵化することなく死滅してしまったのだろうか? いやいや、もしかしたら今だヤゴ(※注2)のまま 体内を泳ぎ回っているかもしれない。 ※注1:「どれどれ」 いわゆるエロ博士がニヤつきながら 「どれどれ、ほうほう、ふむふむ、 ここは、こうなっているのかぁ」 とやるようないやらしい意味合いではない。 (エロ博士) ※注2:ヤゴ トンボの幼虫のこと 今シーズンのオニヤンマ 毎年一度は捕獲しないと気が済まない、オニヤンマ。 こいつは雄だが、雌だと更に大きい。 ヲシテネ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006/09/06 10:00:41 PM
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