テーマ:たわごと(26869)
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このところツタヤのレンタルDVDが百円ということで、 その昔、かの虫プロ(手塚治虫が関係したアニメーション専門プロダクション) が手掛けていたテレビアニメシリーズ 「あしたのジョー」なる作品を借りてきては観いしている。 この作品、原作も含め自分の原点とも云うべき 思い入れの深いものであって 我が人生に於いて受けた影響は非常に大きく その影響は例えば、本質的な部分で後に好む映画や音楽はもとより わたし自身の人格形成にまで、関わり及んでいるように思う。 初回放映、昭和45年のこの作品、幾度となく再放送されており 幼少の頃より、この上っ面でない傷だらけの、格好悪い格好良さに しびれてしまったわたしは 実に可愛気の無い、ひねくれた餓鬼だったのではないかと思う。 なんにしても虫プロが手掛けた本作品の良さというのは まず四十年代初頭当時の時代背景色濃い 原作の持つ泥臭い雰囲気がしっかりとらえてあって そこに画の動くアニメーションの面白さが加わり いわゆる江戸っ子気質の主人公が、実に生き生きと 見事に具現化されているところにある。 また作品中で流れる効果音楽なども ジャズバンド風味だったりで洒落ていて 主題歌の作詞に寺山修司が参加しているところからも 本作品が、ただの子供向けのアニメではない 文学色の強い作品であることが伺えるのである。 この幾度となく再放送されてきた本作品 原作を描いていたちばてつや氏の連載ペースがゆっくりで テレビアニメの方が追いついてしまい 惜しくも物語途中で放映終了となってしまったらしい。 さて、放映終了から十数年経過した頃 このテレビシリーズを短く編集し 映画として劇場公開したことがあったのだけど これをきっかけにこの作品に再度火がつくこととなり あしたのジョー2 なんてものが制作テレビ放映されるに至った。 放映前より雑誌だとかで情報入手していたわたしは 「2(ツー)なんてちょっと安っぽい感じだよなぁ」なんて思いつつも この放映を今か今かと待ちわびていたのだけれど いざ放映が始まって愕然。 まず主題歌に あんが・・・ となり 絵柄に だらだら となり 物語の展開に ぷすう ぶりぶり となり エンディングに じょ じょ じょ となった。 あの泥臭い、熱い血をたぎらせた魂はそこにはまるで無く クールで表層的、へなへな小洒落たつもりの 薄っぺらい現代的な子供向けのアニメが展開していた。 まず少女漫画のごとき細く固い線、ちまちまかちかちした画がいただけない。 例えば紙上にて展開する漫画の場合 登場人物の動き、疾走感スピード感、動かない画のそれらを 通常、線描を用いて表現したりするのだけれど この2のアニメシリーズの場合、アニメでありながら 紙上で展開する原作同様に線描の応酬で、こてこてうるさい。 全体的に動きも固く、アニメ本来の面白味というものがまるで無いのである。 動きの固さのひとつを例にして挙げると 主人公、矢吹丈の髪型がまるで強力な整髪料 若しくは糊で固めたかのよう、頑なに乱れないのである。 まあ、あの髪型が本作品主人公の外見上での特徴のひとつではあるけれど 基本型はあれでありながらも、やはり場に応じて ぐちゃぐちゃばさばさなった方が アニメとしての画的には面白いに決まっている。 (ばさばさの図) そして殴られた顔が醜く歪まない。これも上の理由同様、面白くない。 (ぐちゃぐちゃの図) 更に専門用語正式手法名は分からんけども やたらとキラキラ光溢れる表現効果が多様されており というかそういった表現効果に、馬鹿のひとつ覚え的に頼り切った感 一貫して当たり障りのない小綺麗な感じにまとめてある。 なかでも吐瀉物(げぼ)やらヨダレまでもがきらきら表現されていたのには 開いた口が塞がらず口の中がスポンジみたく乾燥。 三日程飯が食えない有り様となり、危うく餓死するところだった。 効果音楽も、あほな今時風(当時の) 一部横文字なんぞ用いたへぼい主題歌、エンディングテーマ曲は何じゃらホイ。 物語の展開自体も、原作から甚だ逸脱している部分が多々あり このふざけた所業は一体何なのだろう? 大体からして全てに於いてセンスが安っぽく 根本的な部分から間違った感じで 本作品を愛する自分からしてみれば府に落ちない点ばかり。 はっきり云ってゴミである。 当時中学生であったわたしが制作しても もう少しまともなものが出来たのではないかと思う。 いずれにしても未だ本作品に触れたことの無い方々 育ってきた環境、歩んできた道により、感じ方は千差万別 人それぞれだとは思うけれど 原作、テレビシリーズ共々、一度この熱い魂に触れてみては如何だろうか? そして更に暇な方は、駄作である2と初代のものとを観比べなどして頂きたい。 その違い、わたしの意見に、もし賛同出来るなら そんな貴方は、違いのわかる本物指向なこのわたくしと同種族 同士であると確信断言する。 余談ではあるが、原作を描いているちばてつや氏の作品は 本作品以外にも文学的秀作が多数あり なかでも取り分け地味な、当方お気に入りの三作品をここに紹介お薦めしておく。 〔あるあしかの話〕 あしかの話です。 〔蛍三七子〕 蛍に纏わるハナシ。 〔モサ〕 スリのお話。 以上、簡潔な解説でした。 ヲシテネ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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