|
カテゴリ:読書・映画・演劇・音楽
いままでの村上作品の文章と比べると、初めて村上作品を読む人に取っては読みやすく、村上ファンにとっては少し物足りないのではないか。それでもページを繰るごとに、一つ一つの文章の表の意味と裏に隠されたものを考え味わいつつ、じっくり読み進んで行った。
最初はわからなかった青豆と天吾の不思議なつながりが物語を貫く軸かと思ったら、それはあくまでも外周に過ぎないような気がした。それより、本書ではさまざまな事情を背負う人間像を描き、一方で、いま目の前にある現実は実は現実ではないのではないかという恐怖を描く。 色々な謎は謎のまま残されるが、そのままであるほうがいい。 しかし牛河についての描写がほかの脇役的な登場人物に比べていやに詳しい。・・と思ったら、「ねじまき鳥クロニクル」に出てくるらしい。 新聞のインタビューで作者本人が答えているのを読んだら、カオス化した世界の中の原理主義の台頭、情報化の中で忘れられていく単純さなども念頭に置いているようだ。 もう一回読んで、言葉たちに隠された真実を今一度味わいたいと思った。 【重版予約】 1Q84 book 1 【重版予約】 1Q84 book 2 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.06.17 01:14:47
コメント(0) | コメントを書く
[読書・映画・演劇・音楽] カテゴリの最新記事
|