タダって、大変
すき焼きのおいしい季節になりました。 先日、我が家もすき焼きをしようということになり、スーパーでお肉や春菊を買ってきた私。夕方になり、準備に取り掛かろうとしたとき、大事なものがないのに気づいたのです。 そう、それは「牛脂」分かります?よく牛肉の横に無料で置いてある、アレです。 すき焼きの時に欠かせない、この牛脂を、私はもらって来るのを忘れたのです。主人は「アレがないとすき焼きにならない。アナタ今からスーパー行って牛脂取っておいで」「ちぇっ、面倒だなぁ」と思ったものの、買い物してきたのは私なので、責任は私に有り。ブツブツ言いながらもスーパーへ向かいました。 しかし、私は牛脂の前で考え込んでしまったのです。「確かにこの牛脂は無料だけど、この牛脂を、一つひょいとつまんで持ち帰る行為、はたから見たら「何かを万引きしてる」と思われやしないか?」と。 牛脂はとても小さいし、遠めに見て「牛脂、もらっているのね、あの人」って認識してもらえないかもしれない・・。一体どうしたら良いのだろう。 考えに考えた私は、牛脂を真っ直ぐ伸ばした手のひらに乗せて運ぶことにしました。 「私は、わけあって、今、牛脂だけ必要なのです。ほら、手のひらに乗っているの、そうでしょ?」と私なりにアピールしながら、出口まで歩きました。 出口に近づいた所で、また、ハタと考えこむ私。いくらやましくないとはいえ、手に物を乗せた人間がレジも通らずそのまま出て行くのは、やはり怪しまれるのでは・・。 そこで私は、レジの人に向かい「さっき、ここですき焼き用のお肉、買ったんですけど、その時牛脂、一緒にもらうの忘れたんで、で、いま、牛脂だけいただきに来たんですよ。これ、1個、このままもらっていきますね」と、必要以上に詳しい説明をし、やっと!牛脂だけいただいてくることに成功しました。 たかだかこれだけのことなのに、グッタリと疲れたのは言うまでもありません。 本当ならば、牛脂以外にポケット菓子のひとつでも買い求め、一緒にレジカゴに入れればこんな苦労もしないで済んだであろうに、牛脂ゲットのために無駄なお金を使いたくなかったけちな健気な私ゆえの苦労でございました・・。