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カテゴリ:セミナー・講演会
本日10/25に財団法人神奈川県技術アカデミー(KAST)主催で、『失敗の本質』で有名な野中郁次郎先生の講演があり、神奈川サイエンスパーク(KSP)まで行ってきました。
野中先生の講義を聞くのは初めてで、哲学的で難しい話でしたが、第一人者の話を聞けた経験だけで満足しました。 野中先生は講演の中で、20年かかってようやく戦略の本質が分かってきたといってました。 講演テーマ:「イノベーションの本質」 <講演メモ> ○著書について ・最初の共著『失敗の本質』(1991年8月)のポイントは「成功は失敗の元」で、成功すればするほど、過剰適応してしまうということ。 ・『イノベーションの本質』(2004年5月)については、読者から「あなたの本は何を言っているのか分からないが、最もこの本が分かりやすかった」と言われる。 ・最近出版した『戦略の本質』(2005年8月)は、大変よく売れているが、やはり良く分からないと言われる。軍事戦略論を事例に使用しているが、軍事戦略は勝ち負けがハッキリしているので本質が見える。経営戦略は勝ち負けがハッキリせず、2番手、3番手でも利益は出せるし、企業の命は30年程度はあるので、本質をみつけるのは難しい。 ○戦略とはポジショニングである ・企業の成功はマーケットの陣取りによって決まる →利潤率が高く競争力を長く保てる場所、最も競争が無い所に陣取ることが大事 ・実際は他社も同じ分析をしているはずで、あえて競争の激しい所で勝ち残り、ノウハウをため、自らイノベーションに追い詰めるやり方もある。 ○戦略は独自資源の蓄積である ・環境分析は関係なく、他社が模倣困難な経営資源を持つことで有利に戦う →シャープの亀山工場製がブランドとなっている ・物理学から派生した経済学的考え方では、企業の存在目的は利潤の最大化であるが、戦略の創造の主体である人間が見えないので暗くなる →人間は主観を持ち、能動的に環境を変えていく存在である ○戦略は「未来創造」である ・イノベーションは未来を作ることであり、知識創造プロセスである ・知識創造は暗黙知と形式知の相互変換であり、両者のスパイラルが必要である ・形式知が暗黙知を殺してしまっており、これが過ぎると傍観者・分析者となってしまいデータの裏にある本質を見つけられなくなる ○組織的知識創造の一般原理(SECI(セキ)モデル) ・共同化(S/新しい気付き:暗黙知→暗黙知/)→表出化(E/大勢で対話:暗黙知→形式知)→連結化(C/スペックに落とし込む:形式知→形式知)→内面化(I/行動を通じて新たな暗黙知へ:形式知→暗黙知) このスパイラルを止めないで回し続ける ○ビジョン:知識創造は主体の絶対価値の追求から始まる ・イノベーションは、何の為にやるのかという強い思いがなければ駆動しない ・イノベーションは分析の結果出てくるものではなく、生き方であり、夢、主観、問題意識が重要である ・富は手段でしかなく、善=幸福、可能性の限界である知を求めるべき →アップルのスティーブ・ジョブズの最近のスタンフォード大の卒業式でのスピーチで、17歳から毎日、今日が最後の日(死)だとしたら、自分は何をすべきかを考えていると言っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年10月25日 18時53分25秒
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