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カテゴリ:セミナー・講演会
11月10日に東京大学大学院薬学研究科主催の公開講座「医療経営学概論」にて、エスエス製薬社長の羽鳥成一郎氏が講演された。
会社の顔である社長の存在が、いかに重要か、実感した講演会であった。 本社を医薬品業界の街、日本橋から赤坂に移転し、「ディスカウン市場でブランド構築は可能か?」という命題に立ち向かう同社に注目したい。 <講演メモ> ○羽鳥社長の略歴 エイボン18年、ロレアル5年の世界的な化粧品会社でマーケティングを担当し、ベーリンガーからエスエス製薬の社長に就任。 ○エスエス製薬の歴史 240年の歴史を持ち、社名のエスエスは「サイエンス」と「ソサイエティ」の頭文字。 2000年に独ベーリンガー・インゲルハイム(世界13位)のTOBにより傘下に入り、2005年3月に医療用事業を久光製薬に譲渡。4月より一般大衆医薬(OTC)専門メーカーとなる。OTC市場では大正、武田に次ぎ、業界3位。 ○エスエス製薬の逆風 ・メーカーより小売の方が売上が大きい ・量販店の売上が増え、M&Aでさらに巨大化(将来は4つのグループに集約される) →年商/マツモトキヨシ3000億円、サンドラッグ1539億円、CFS1449億円 →ロレアルは1つの百貨店の化粧品売上の20%を占めていたので、テナント料を払わなくても百貨店から出店依頼があった。 ・コンビニとの戦い ・プライベートブランドの台頭(小売にとって利益率が高い) ・トクホ、健康食品の急成長 ・消費者の価値観の変化 ・オーバーストア化による競争激化 ・ディスカウント ・そして、独自店舗を持たないエスエス製薬 ○ヘルスケア市場 2004年/2兆6千億円(近年6年間で35%の成長)→2010年/5町3千億円 ちなみに化粧品市場は1兆3千億円、トイレタリー市場は1兆円 ○OTC市場の特徴と環境変化 ・OTCは医療用医薬に対し、膨大な広告宣伝費が必要な為、利益率が低い ・進む規制緩和 →1999年300品目、2004年371品目の販売に対し薬剤師が不要 ・人生90年時代に突入(高齢者の8割が健康に気を付けている) ・セルフメディケーションへの関心高まり →2003年22.1%、2004年53.3%、2005年70% ○ブランド構築の必要性 ・なぜブランドが必要か? →ファンが付くから。ブランドを持つ事によりロイヤル・カスタマーが付く(ルイビトンの売上の35%が日本市場) ・どのようにブランドを作るか? →誰にサービスをしなければならないか(ビジネス・ドメイン)を明確にする →顧客とのコンタクトポイントは何処か?そこにどういうサービスを提供できるか? ・新規顧客のリクルートコストは高い →2%リピートすれば10%コストが下がり、5%リピートすれば20-85%ダウンする ・ボンディングにつながる(顧客から信者に変身) ・ブランド構築には限定流通(セグメンテーション)が必要 ○顧客マネジメント戦略の手法 ・ユーザークラブ制度 →ランコムのプラチナカード所有の顧客には、わざと他の客の前で特別対応をする ・定期マガジンの送付 ・優良顧客限定イベントの開催 ・マイレージ導入 ・優良顧客専用窓口の設置 ・サンプリング「お客様モニター」により、顧客が商品企画に参加 ・顧客データベースの構築、分析 ○エスエス製薬の戦略変更と今後 ・OTC市場でブランドを構築し、チャンピョンを目指す →本社を赤坂に移転し1階にシュールーム設置 →黒木瞳を通してブランドを伝える(世代別女性誌に広告掲載) →良い店・高級な店を販売ルートに選ぶ ・全ての人々に→女性にのみターゲットを絞る(「ルル」は母親が購入する) →情勢が求めているのは「美」、それは健康があってこそ →「ハイチオールC」は美白効果市場でシェアー60% ・マーケティング部署の中に新商品開発課を設置 ・顧客がコンサルテーションを求めているのは間違いない →薬剤師、栄養士、美容師の知識を持ったヘルスアドバイザーが必要 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年04月10日 15時01分39秒
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