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カテゴリ:セミナー・講演会
11月22日に早大・産業研究所の第30回公開講座が開催され、早稲田ビジネススクール教授の大江健氏が「新規事業はなぜ成功しないか」というテーマで講演された。
<講演メモ> ○大江先生の略歴 日大理工学部・物理学卒。1975年からコンサルティング業、1998年から早大ビジネススクールにて教鞭をとる。1979から80年の間、コロンビア大でMBA取得。 フェアチャイルドを初め、数々の外資系日本支社のスタートアップ時に役員として関与されてきた。 フェアチャイルドのゴルフ・コリガン社長(当時32歳)は、人を信用できなかったので、社員は常に4千人以上にはならなかったそうである。インテル、AMD等も同社よりのスピンアウト組み。 ○情報時代への対処 ・1970年代にアルビン・トフラーが「第三の波」で未来の衝撃について書いた。 →10年に1回職業を変える時代が来る。 ・1980年に米国バブソン大学で世界初のベンチャーコースが開設された →日本では1995年に法政大にベンチャー講座ができた →1997年に日本ベンチャー学会設立 ・1980年に米国バイドール法制定 →日本は2000年に日本版バイドール法を制定 ○情報化時代の特徴 ・情報インフラが廉価となり超競争社会が出現、ライフサイクル短期化、高速化 ・起業家精神を発揮するかどうかで勝負が分かれる →情報が平等になるので、不確実性を有利に取り込む必要がある ・顧客がニーズを主導するようになる ・競争優位の期間が短くなり、収益期間が短命化する →新規事業を次々と着手する必要がある ○なぜ新規事業は必要か? ・例、カメラ業界6社のケース 1971年には6社の売上の上位と下位の差は僅か4倍 →2001年には、28倍(キャノンとペンタックス)に拡大 ペンタックスもこの30年間で6倍に売上を伸ばしているが・・・ ○新規事業のためのコンセプト 1.固有時間→事業には分野毎にスピードが異なる 低速業界:エネルギー、製鉄、固定電話 中速業界:航空機、製薬、素材・原料 高速業界:アパレル、半導体、PC →業界毎に組織を再編し、特有のスピードに対応しなければならない 例、製鉄業界が1980年代に半導体事業に手をつけたが全て失敗 製鉄は25年に1回2000億円の投資、半導体は4年に1回400億円の投資 2.利益目標→既存事業の利益額の10%、既存事業の利益率の2倍、参入市場でシェア20% 3.研究開発戦略→投資対象のポートフォリオを組みシェアを決める 待機型、飛石型、偵察型、基盤型 4.消費チェイン→ニーズを顕在化させる 例、ニッセンの通販:コールセンターの80%の業務が不在通知の対応 →コンビニでの受取に変更 ブラウンの剃刀:刃が壊れやすく、刃が新品でいつも切れ味が良い 5.仮説のマネジメント ・成功している事業でも外的仮説(市場・競争)は3年後に30%しか正しくなく、内的仮説(技術開発)は3年後に70%も正しかった ○21世紀の新事業の方法 ・競争優位性の活用期間が非常に短い ・不確実性の高いビジネス環境である ・無限の情報下での意思決定が必要 →ケース・スタデイのように限られた情報下での意思決定手法は役に立たない ・仮説のマネジメントによる実験経営学が必要 <参考文献> なぜ新規事業は成功しないのか新版 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年11月28日 18時37分43秒
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