4/14にWAOクリエイティブカレッジで、「THE有頂天ホテルのビジネス戦略を斬る」というテーマのセミナーに行ってきた。
講師に、同映画のプロデューサーのフジテレビ重岡由美子さん、東宝の市川南さんから、実際の映画製作から宣伝までの苦労話を聞け、ヒット作は作為的に作られるという事が良く理解できた。
早速、今日、映画館で作品を見て、大ヒット作品の普遍性である「感動」を味わってきた。
このヒット作品の製作段階からプロモーションまで、あらゆるビジネスの基本が凝縮されていると思った。
○三谷監督作品
・1作目「ラジオの時間」興業収入7億円、2作目「みんなの家」興業収入13.5億円、有頂天ホテルが3作目。
・これまでの作品は、地味でゴージャス感が無く、カップルでデートとして見に行く作品では無かった。
・三谷作品は投資と見ると、1年後に必ず投資金額が2倍になる堅い投資。
○有頂天ホテルの特徴
・邦画の3大失敗のジンクス(原作無し、コメディ、群像劇)に挑戦した。
・興業収入60億円、観客動員460万人を突破し、歴代邦画ランキング8位。セカチュウ、今会いが10~20代に集中していたのに対し、全世代が観客となっている。
・最近流行の「製作委員会方式」(広告媒体を自ら持っている企業がメンバーになる)を取った。
・ホテルセット製作代+キャスト代+撮影費で7億円の見積→最終的に6億円弱かけ(通常の邦画の制作費は3~4億円)、宣伝費に4億円(通常の邦画は2億円)、これをフジテレビと東宝で折半。企画段階でヒットを予想(当初予想興業収入20億円)できたので、2社だけで儲けを折半したかった。
・プロモーション戦略に重点を置き、監督、キャストが積極的に他局の番組に出演して50番組以上で映画の宣伝。フジテレビの高島アナをキャストにして、「めざましテレビ」では6回宣伝をした。
・現在、DVD版を製作中で、売上目標40億円。DVD版では特別に2046年の三谷監督が老けメイクで、当時の事を語るシーンを入れるとのこと。
○キャッチフレーズ
・全ての人の為のエンタテイメント大作です。華やかなパブリシティで、大成功を目指します。
・当ホテルは愛と勇気と素敵な偶然をお届けします。
○企画段階の話
当初、三谷監督との打合せ段階で、1.幽霊法廷もの、2.吉田松陰もの、3.グランドホテルもの、の3つの候補があり、本人は幽霊法廷ものが気に入っていたが、重岡プロデューサーが軌道修正した。
○最近の映画の特徴
・携帯メール、ブログ等で口コミで評判が素早く伝わる。(有頂天ホテルの試写会参加は4万人)
・5年位前なら初日の観客数が最も多く、毎週減っていくのが普通だったが、最近はランキング番組の影響で、1位が続くと評判になり、ヒット感があおられる傾向がある。
・5年前の調査ではテレビCMを見て映画を見に来るが1位だったが、最近は映画の予告を見て来るが1位と、映画館のリピート客が増えている。
○歴代邦画ランキング (興業収入、配給収入)
1位 踊る大捜査線 MOVE2 2003年 173.5億円 -
2位 南極物語 1983年 111億円 59億円
3位 子猫物語 1986年 101億円 54億円
4位 天と地と 1990年 95億円 50.5億円
5位 踊る大捜査線 MOVE 1998年 94億円 50億円
6位 世界の中心で愛をさけぶ 2004年 85億円 - (制作費3.5億円)
7位 敦煌 1988年 85億円 45億円
8位 THE有頂天ホテル 2006年 60億円 -
9位 ビルマの竪琴 1985年 56億円 29.5億円
10位 探偵物語 1983年 52億円 28億円