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*論文(特に青字部分)を丁寧に読むと、「宿題〜パターン学習」がいかに危険であるかが見えてくる。 生後間もない動物の脳には過剰な神経結合(シナプス)が存在するが、生後の発達過程において、必要な結合だけが強められ、不要な結合は除去されて、成熟した機能的な神経回路が完成する仕組みを持つ。この過程は「シナプス刈り込み」と呼ばれており、生後発達期の神経回路に見られる普遍的な現象であると見なされている。 シナプス刈り込みを、小脳の「登上線維」と「プルキンエ細胞」の間のシナプス結合で検証した結果が下記である。 生まれたばかりの動物のプルキンエ細胞では、5本以上の弱い信号を伝える登上線維がプルキンエ細胞の根元にシナプスを形成しているが、成長した動物ではわずか1本の登上線維が、強靭なシナプスを形成している。 ●つまり、少なくとも100個の思考回路が20個以下になってしまうということだ。1/5以下に刈り込まれるのだ。 >まず生後7日までに、細胞体にシナプスを形成していた複数の登上線維の内1本だけが強くなり(機能分化)、 ●環境適応のために、同じグループ内でも1本だけ最も頻繁に使われる登上線維が強化され、プルキンエ細胞の樹状突起に侵入して、シナプスを作る(樹状突起移行)。 >一方で、弱い登上線維のシナプスはプルキンエ細胞は、16日頃までの間に除去され(前期・後期除去過程)る。 ●結果として、5本以上の登上線維は、1本になり、プルキンエ細胞の樹状突起に残るシナプスとなる。 *また、生後10日頃から16日頃までの間に、小脳中でGABAが働くことが、シナプス刈り込みに必須であることが明らかになった。 前段階=準備段階:生後7~11日目のシナプス刈り込みでは相対的に強いシナプス結合が残る 後段階=実施段階:生後12~16日目には個々のシナプス結合の絶対的な強さが重要 ■相対的に区別して(環境適応度による)、絶対的な育ちで削除(一定レベルの強度のものだけを残す) →役に立たない未熟な回路は、選別で残っても削除される。 →偶然に、一瞬複雑な思考をしたとしても、思考の忍耐力まで持っていかないと定着しない、ということである。 http://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/admin/release_20140808.pdf シナプス刈り込みのしくみを解明 〜シナプス結合の強さの絶対値と相対値の両方が重要〜 ■発表概要:記憶・学習・情動・運動などの高次機能が正常に働くためには生後発達期の神経回路形成が重要であると言われています。 >生後間もなく神経細胞同士の結合部位であるシナプスが過剰に形成され、 →適応準備段階 >その後必要なものだけが選別される“シナプス刈り込み”と呼ばれる現象が起こる。 →エネルギー効率化のための選別:環境適応 *シナプス刈り込みは神経系のさまざまな領域で起こる現象である。 *今回、小脳において、シナプス結合の絶対的な強さが半分程度に弱くなったが、強いシナプス結合と弱いシナプス結合の相対的な強さの差は正常と変わらない遺伝子改変マウスを作製し、シナプス刈り込みを調べた結果、このマウスではシナプス刈り込みが生後11日目までは正常に起こりますが、その後刈り込みが進まなくなることを明らかにしました。つまり、生後12日までの刈り込みには強いシナプス結合と弱いシナプス結合の相対的な差が、生後12日以降の刈り込みには強いシナプス結合と弱いシナプス結合の相対的な差だけでなくシナプス結合の絶対的な強さが重要であることを明らかにしました。 ■生後の発達過程において、「シナプス刈り込み」と呼ばれる現象が大人の機能的な神経回路を作り上げるために重要とされています。生まれたばかりの動物の神経系には過剰なシナプスが形成されていますが、その後の発達に伴って必要なものだけが選別され、不必要なものが除去され、環境に適応した神経回路が出来上がります。この過程に異常があると本来であれば除去されるべきシナプスが残存したり、必要以上に除去されてしまったりして、神経回路として十分に機能を果たせなくなります。 →●学習障害の根幹に関わる証拠となる事象である。高度な「思考という複雑回路」を作り上げるべき時期に単純作業的なパターン学習や宿題に出る<お粗末3点セット>のような<高速・大量・反復>を推奨する学習は、学習障害をもたらすと考えられるということである。 ■統合失調症や自閉スペクトラム症といった精神疾患では、シナプス密度の異常が指摘されており、シナプス刈り込みの異常がこれらの疾患の一因を担っている可能性が指摘されています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年08月03日 09時58分15秒
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