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2018年1月11日
参加し、そのヒントを探りました。 <本当の学力>とは「生き抜く力」=「思考力」 親世代が学生の頃、「学力」は「テストの点がよい」「偏差値が高い」という意味に捉えられていました。しかし現在では「学力」をより総合的な力として捉え、教育改革も進められています。 糸山先生の著書「12歳までに『絶対学力』を育てる学習法‐すべての教科に役立つ万能の思考力を伸ばす」では、 ”本当の学力”とは、未知の問題に対しても、楽しく工夫しながら取り組むことができる力のことを言います。どのような問題に出会っても、解決方法を自分で試行錯誤しながらみつけることのできる力です。この力が、勉強に限らず、子どもたちが人生を生きていくときに必要な力です。つまり「生きる力」ですね。「生き抜く力」と言ってもいいでしょう。と説明しています。 そして「生き抜く力」とは、目の前にある問題を自らが考え、答えが出せる力のことであり、すなわち「思考力」だと、糸山先生は捉えています。では、「思考力」とは具体的にどういう力なのでしょうか。 糸山先生は講演会で、「思考力」の正体を脳の働きから捉え、年齢とともに変化する子どもの脳と思考回路を理解することで、「思考力」を養うためには、どういう教育・学習方法が適切かを理論的に説きました。 子どもの思考力養成のカギは「分かる」「考える」が分かることから!? 講演会は、親はもちろん、子どもも「思考力」の意味が体感できる話から始まりました。 〜「リンゴとリンコ」の話〜 「リンゴ」は、その言葉を聞くと同時に、頭の中でリンゴの写真や絵図がでてきますね。ですから、描く事ができますね。そうなのです。「リンゴ」は描ける。 だから、分かる。 「リンコ」はなんだか分からないので、絵に描けません。そこで、「リンコ」とは、「リンゴ」の隣で口を閉じて微笑んでいるお魚さんだよと説明を受ける。すると、「リンコ」がどういうものか分かるので絵に描けます。絵に描ける。だから、「分かった」のです。 そうです。「分かる」とは「絵に描ける」なのです。英語でも、「話が分かる」ときに、「I see.」「私は見えます。」つまり「私は分かります。」と言います。英語でも「見える」イコール「分かる」なのです。 すなわち「分かる」とは、使っている言葉から、その言葉につながっている視覚イメージ(絵図)を引っ張ってきて頭の中で再現すること、見ることができるようにすること。ですから、「見える」ということが「分かる」ということで、「理解力」とは、この「言葉から視覚イメージを再現する事」だったのです。 次に「考える」こと。この「リンコ」が「リンゴ」を食べるにはどうしたらよいでしょうか。子どもたちからは、包丁を持ってくる、「リンコ」が大きくなって口を開ける、「リンゴ」を小さくしするという答えがでました。描いてある絵を見ながら、その絵を変形させてどうすれば問題が解決できるか、つまり「リンコ」が「リンゴ」を食べることができるか答えを見つけます。 それが「考える」こと。すなわち「思考力」のことです。 大人もハッとさせられる「リンゴ」と「リンコ」の例です。子どもに、「分かる(理解力)」「考える(思考力)」とはどういうことかを教えやすくなったのではないでしょうか。 次に出てきた話は、糸山先生の造語「感味力」と「視考力」についてです。漢字の意味から、どのような力なのか想像がつくかと思いますが、著書に詳しい説明がありましたので、引用します。 「感味力」とは、感じ味わう力です。(中略)料理の味見のように、一瞬で自分が知っているデータを使って単純に判断するのではなく、時間をかけて味わうように料理全体を深く感じることで、体験(料理)をまるごと自動分析します。 「視考力」とは、文字や言葉といった記号を引き金にして、視覚イメージの再現・操作・選択をする能力です。 少し専門的な話になってきましたが、つまりは、目で見るだけでなく、体で感じて味わった体験は、物事に対して高度な理解が得られ、その体験が感性豊かな深い思考に繋がるといったことでしょう。 確かに、昆虫図鑑で見て知ったことよりも、実際、獲って、触って、観察した体験の方が、情報量も多く、より深い思考に繋がる気がしますね。 脳の働きから分かる「思考力」の育て方 なぜ「思考力」を「視覚」という点から説明するのか疑問に思っていたところ、「脳の働き」の話が始まりました。子育て法を脳の機能から学ぶことは大変新鮮です。 大脳と小脳の働きとシナプス(思考回路)刈り込み現象 人間(霊長類)は視覚動物と言われるくらいに、高度で高速の視覚(平面視覚イメージ)処理能力を持っています。この視覚メージ操作の産物として「思考力」が生まれました。 視覚情報は大脳で処理されますが、大脳の神経細胞が140億個に対し、小脳は1000億個です。そして大脳のエネルギーは有限なため、視覚情報の思考回路をリサイズして再利用できるように、小脳にコピー保存して蓄積されることが分かっています。 それともう一つ、思考回路は、過剰に増えたのち、環境に合わせてセレクトされ、シナプス刈込み(Synaptic Pruning)が行われます。刈り込みでは、よく使う思考回路が残され、使わない思考回路が消えていきます。つまり、単純なことばかりやっていると、その思考回路しか残らず、思考に忍耐力がなくなります。よって、複雑な思考回路をよく使うことが大切なのです。 脳の機能から「思考力」の正体が見えてきました。そして、「考えること」には、エネルギーが少なくてすむように、小脳に保存された思考回路が使われ、よく使う思考回路が残されるということから、「良質な思考回路」を作って保存されることが重要な気がしてきました。 そして、このような脳の機能は12歳までのある年齢ごとに変化し、それに伴い思考回路も変化するということです。 5歳、9歳、12歳で変わる「思考の発達過程」と「脳の発達過程」 思考回路の発達過程においては、0歳〜5歳は、思考そのものである視覚イメージの操作が未発達です。この時期に「感味力」を養い、思考力の土台を作ります。よってこの時期に「感味力」を麻痺させる、早期幼児教育にありがちな徹底反復・大量暗記・高速学習(単純計算)は避けるべきです。 また、脳の発達過程においては、5歳〜6歳になると、急成長していた脳の運動細胞の成長が減速します。これは、体の成長に使っていたエネルギーを思考の発達のために使い始めたからだと考えられます。 そして5歳〜9歳では、5歳までに養ってきた「感味力」を伴う視覚情報を頭の中でイメージし、思考回路を作ります。つまり具象物を使っての思考です。そして、9〜12歳からは、それまでに作って小脳に蓄積していた思考回路を使って抽象思考をし始めます。ですから、9歳までにどれだけ多様な思考回路を蓄積することができるかが思考力養成の鍵になります。 また、思考回路の刈り込みにおいては、回路の作成期間が短い子だと7歳前後、長い子だと12歳前後までに行われます。思考回路が作られては刈り取られる、スクラップアンドビルドを繰り返し、よく使う思考回路が残されますので、やはりこの時期までに、複雑な思考を行うことが、思考力を養うために重要です。 糸山先生は、こういった理論に基づいて、年齢に応じた適切な教育が行われることが重要だと言います。 経験や慣習はもちろん大切ですが、科学的な理論に基づいた子育て・教育が、21世紀型の「新しい子育て法」なのかもしれません。 中学受験勉強は半年でよい!? どんぐり倶楽部では、実は、極力中学受験は控えるようアドバイスをしています。 脳がシナプス刈り込みをし、一生使う思考回路の中でも、特に一生の「言動」を左右する「オリジナルの判断力」の仕上げをする12歳前後に、中学受験対策としては行わざるを得ない過去問分析によるパターン学習(他人の判断の真似をするという学習方法)を徹底的に強化する受験勉強は、子どもに良くない影響を及ぼすからです。 そこで、パターン学習が「思考力」に与える影響を加味し、受験勉強は6年生の7月からの半年間のみ、しかも過去問分析校は1校、もしくは併願校として、同じような入試問題の学校に絞って過去問に取り組むというような、できる限り短期間で対応する形を勧めています。中学受験でも力を発揮するどんぐり倶楽部の学習法ですが、オリジナルの教材に取り組む中で、親が「教える」どころか「ヒント」さえも絶対厳禁という特徴があります。家庭で親が教えることは全くないそうです。ヒントなしの自力で問題を解くことに「思考力」養成のカギがありそうですね。 * * * 時代の変化が早いため、子育ても、子どもの学習においても、何かに駆り立てられるかのように、早さを求めてしまいがちです。しかし、時代を生き抜く力は、今も昔も変わらず、ゆっくり、じっくりと育まれるものだという糸山先生の考え方は、心の余裕にも繋がり、子育てに安定感をも生み出すのではないでしょうか。 ■糸山泰造: お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年08月03日 10時11分29秒
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