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2006/12/09
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ネロ・ウルフが登場する長編33作品中5作目にあたる,

レックス・スタウトの「料理長が多すぎる」(Too Many Cooks,1938)

を読んだ。
ネロ・ウルフのシリーズの中でもっとも有名でかつもっとも読まれている作品だろう。

1937年4月上旬。シリーズで初めて,ウルフが鉄道での旅行をする(「若造」のころはオーストリア政府の密命でスペイン→アルジェと動き回っていたこともあるらしい)。

行き先はウェスト・ヴァージニア州のカノーワ・スパー(チャールストンの近く)。
5年に1度開かれる「15人の巨匠」の会に主賓として呼ばれ,料理を堪能し,会の締めくくりとして「高級料理に対するアメリカの貢献」という主旨でスピーチをするためである。

この事件でウルフは報酬(何人かからの違う形の提示で,最高5万ドル)を受け取らない。
これでウルフを「無欲な人間」などと思ってはいけない(笑)
いちおう,「客だから」とか「自分が狙われたから」ということで,事件を「無料」で解決してしまうのだが,実はもっともほしいサン・レモの「コリドーナ」の料理長からソーシス・ミニュイ(ソーセージ)のレシピを,周到な根回しの上で手に入れているのである。

今回も,ウルフの「聞き上手」が存分に発揮された。相手は料理長の1人の妻である中国人と,滞在したホテルの給仕,コックなどを含めた黒人たち。

ウルフ自身が「移民」であることもあり,黒人たちから事実を聞きだす場面は(実はウルフの説得が空振りもするのだが)説得力があった。
年代と国柄を考えると,口を閉ざす彼らの気持ちはストレートに伝わってくるし,「ひょっとして今でも?」などと思わせるところもあった。

なお,主賓であるウルフは「カノーワ・スパー」の料理長から招待されるのだが,アーチーも同じ資格で料理のテーブルにつけるように招待してくれたのが,ウルフの友人でニューヨークのレストラン「ラスターマン」のオーナーシェフのマルコ・ヴュクシック。
彼はウルフがファーストネームで呼ぶ「身内」以外の2人のうち1人ということだが,その後の作品にも名前がよく登場する。


登場人物などをフリーページのレックス・スタウトメモ(ネロ・ウルフシリーズ)に簡単にまとめてありますので,ごらんください。
レックス・スタウトの他作品についての日記は,フリーページ 読了本(海外) (レックス・スタウト)からごらんください。



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Last updated  2006/12/09 12:51:49 AM
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