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2006/12/30
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カテゴリ:高田崇史
「QEDシリーズ」の10作目,

高田崇史の「QED~ventus~熊野の残照」(2005)

を読んだ。

秋の学薬旅行。
行き先が熊野ということで桑原崇が最初から参加表明をしていたことは前作「鬼の城伝説」の最後に書かれていたのだが,彼の強い希望で旅行のスケジュール(熊野三山をまわる順番)を変更してしまうということに,いかにも「タタルらしい」と思わされ,最後になって,その順序に意味付けされるところには,いかにも「この作者らしい」と思わされた。

今回は,棚旗奈々より4つ年下の神山(みわやま)禮子が語り手となっていて,「もう1つの話」ともからんでおもしろかったのだが,奈々の,「崇の聞き手」として以外のキャラクターがどんどん薄くなっているように感じられ,そこには不満が残った。
途中から妹の沙織と小松崎も合流するのだが,奈々よりも沙織のほうが,人間らしく感じられる…といったらちょっといいすぎかな(笑)

例によって,熊野をめぐる伝承とそれが意味する歴史の現実の話がたっぷり。ただし,「聞き手」としては奈々ほど優秀ではない(崇の話を真剣に聞いていない)ようで,以前に語られたことをおぼえていない部分が多い!!(笑)
そろそろ,最初から読み返すべきかなぁ…などとも思ってしまった。

「ventus」とついた作品は,どうやら崇・奈々の話とは別進行でもう1つの話が進むようなのだが,今回の話には「やられた!!」。

旅行の同行者である神山禮子にからむ話だったこともあり,最初から「伝承話と事件の話が直接にはからまなそうだ」と思っていたこともあり,逆説的ではあるが,今回初めて作品の中で「事件とウンチク」が融合していると感じられた(笑)

しかも,「してやられた」感が,というよりしてやられたそのものだが,好感度をアップ(笑)
父が死んでいたり生きていたりするのがおかしいとは思い,「村人の中の父」と「家の中の父」は別か? などとも考えたのだ!!
でも,途中にヒントがあり,それをしっかり覚えていたにもかかわらず,あまりにも単純な語り手の入れ替えトリックにひっかかってしまった(大笑)

途中で眠くなる部分もあるけれど,これまで読んだことのない人がここから読み始めてもよいかなと思わせる1冊だった。


シリーズ前作「QED鬼の城伝説」の日記は,→こちらからどうぞ。

高田崇史の他作品はについての日記は,フリーページ 読了本(日本) (高田崇史)からごらんください。


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Last updated  2006/12/30 12:39:45 AM
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