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2007/01/16
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シリル・ヘアーの「英国風の殺人」(An English Murder,1951)

を読んだ。

クリスマスを祝うために病身のトーマス・ウォーベック子爵の邸に集まったのは,卿の息子で右翼政治団体の指導者であるロバート,現職の大蔵大臣で卿の従弟であるサー・ジューリアス・ウォーベック,ロバートの幼馴染みで伯爵令嬢のカミラ,教区牧師の娘で,有能な若手政治家の妻であるカーティアズ夫人などの面々。

さらに,卿の文書保管室で歴史文書の研究をしていたボトウィンク博士もクリスマスをウォーベック邸で過ごすことになるのだが,クリスマスを迎える鐘の音とともにロバートが殺され,さらにはトーマス卿もショックを与えられて心臓麻痺を起こす。

事件はウォーベック邸にとっても英国にとっても「外来者」であるボトウィンク博士(ハンガリー生まれでオーストリア,チェコ,ドイツに在住)によって解決されるのだが,犯行の動機というか背景がタイトルにあるように「英国風」であるという点がもっともおもしろかった(残念ながらこれ以上書くとネタバレになるので,詳しくはお読みください,笑)。

サー・ジューリアスの護衛としてロンドン警視庁の公安部ロジャーズ巡査部長のキャラクターもなかなかよく,ボトウィンク博士と執事のブリッグズとのやりとりにも,言葉の問題を含め,興味深いものがいろいろあった。

殺人事件や,「雪の中の山荘」的シチュエーションが出てくるにもかかわらず,なぜか「のんびり」とした雰囲気も感じられる1冊だった。


シリル・ヘアーの他作品についての日記は,フリーページ 読了本(海外) (シリル・ヘアー)からごらんください。


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Last updated  2007/01/16 01:10:20 AM
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