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テーマ:ミステリはお好き?(1494)
カテゴリ:読んだ本(ミステリ・海外)
ポール・アルテの「カーテンの陰の死」(La Mort derriere les Rideaux,1989)を読んだ。時代は,ヒロイン役のマージョリー・コンウェイにツイスト博士を紹介したフランシス・マルタンの夫エチエンヌが「赤髯王」事件(→日記はこちらから)に巻き込まれたの翌年ということから,1949年であろう。 舞台は霧のロンドン。 頭皮を剥いだ刺殺事件の現場に居合わせたマージョリーは,犯人が自分の下宿(5階建てのまかないつきアパートといった感じ)の住人であることを知る。 あやしげな住人だらけのその下宿で,さらに殺人事件が起こり,それは同じ下宿で70年前に起きた事件とそっくりの状況の「不可能」殺人だった。 さらに頭皮を剥いだ刺殺事件は続き…… といった感じなのだが,猟奇殺人,不可能殺人,過去の殺人と現在の殺人の連関などはカー的雰囲気が横溢して,これは作者が「フランスのディクスン・カー」と呼ばれるだけあってまあ当然。「盲目の美容師」まで出てくるのには笑わされる。 さらに,この作品にはクリスティー風味もたっぷりきいていて,マージョリーはいかにもクリスティー好みのヒロインであり,冒頭で,ツイスト博士の相棒であるハースト警部に「未だ起きていない殺人事件」の犯人を告発する老嬢バイオレット・ガーフィールドはキャラクター設定といい,ストーリーの中での役割といい,クリスティーの「殺人は容易だ」に出てくるミス・ファラートンそっくりである。 それがカーやクリスティーのパスティーシュやものまねでないことは,巻頭の献辞にこの2人を堂々とあげていることからもわかる(もう1人のステーマンは「殺人者は21番地に住む」に近い舞台設定からの献辞かとも思う)。 ついでにちょっと書いておくと,ポーの作品を読もうかなと思っている人は,この作品を読むのはポーを読んだあとにしてください。 露骨にネタバレが出てきます。 要するに,作者ポール・アルテは,カーやクリスティーやポーを下敷きにしているというより,「ミステリファンなら自分の作品より前に彼らの作品を読んでいるよね」というのを「前提」にして,利用しながら書いているようだ。 そして,自分独自の世界を作っている(のだろうと思う)。 なぜ「のだろうと思う」を入れたかというと,今回が彼の作品を読む2作目だからである(どうやら,刊行と逆順に読んでいるらしい,笑)。 完成度の高いミステリだと思う。登場人物も限られていて,それぞれが個性豊かなので,「カタカナ嫌い→海外ミステリ嫌い」の方たちにも読んでもらいたいと思わせる作品だった。 PS 日本語タイトルは素直に「カーテンの後ろの死」としたほうがトリックとの関係も含めてよかったのではないかと思う。 ポール・アルテの他作品についての日記は,フリーページ 読了本(海外) (ポール・アルテ)からごらんください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ → ミステリ・サスペンス・推理小説全般 こちらもクリックをよろしく!! → このブログのRSSのURL → RSS ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/04/19 12:44:34 AM
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