玲子 見送る
玲子 ふ~危ない、危ない。でも、これでしばらく誰も帰って来ないわね。それじゃあ・・・。
そう言って玲子 冷蔵庫の上の箱を取ろうとするが、慌てて載せたために手がギリギリで届かない
玲子 んっ!ほっ!んあっ!!・・・駄目だ、届かない・・・。もう・・・。
玲子 仕方なく椅子を持ってきて、その上に載る 手を伸ばしたところで、健三が帰ってくる
健三 いや~やっぱりやめた。
玲子 えっ!?
健三 何してるんだ?
玲子 あ、えっと・・・。れ、冷蔵庫の上なんて久しく掃除してなかったので、ちょっと拭いておこうかなあと思いまして・・・。
健三 手で?
玲子 え?
健三 だから手で拭くんですか?
玲子 あ、嫌だ。私ったら急に思い立ったので雑巾を忘れてしまったみたいです。
健三 (笑う)
健三 台所の雑巾を椅子の上の玲子に渡す
健三 はい。
玲子 あ、ありがとうございます。
玲子 冷蔵庫の上を拭きだす
健三 居間に行きテレビを付ける
玲子 そっと箱を取り気付かれないように茶箪笥の棚に移動させる
玲子 あ、私、まだ着替えてなかったわ。
玲子 そういうと台所を出て2階へ向かう
健三 それを背中で察知して立ち上がり、台所へ向かう
健三 ・・・怪しい。何かがこの当たりに眠っている・・・。しかし、何だ?その何かとは?・・・ん?待て、あの動揺・・・過去にも何処かで・・・あっ!あれは5年前、1コ1万円の烏骨鶏の卵で作られたカステラを隠していた時の動揺に・・・似ている。とりあえず、怪しいのは冷蔵庫の上だな。
健三 そう言って冷蔵庫の上を探す
健三 何もないじゃないか・・・。さてはこの瞬間に移動させたか・・・まさか!部屋に持っていった?いや、何も持ってなかった・・・多分。それに玲子さんはダイニングかリビング以外で何かを食べるのを非常に嫌う・・・ってことは、やっぱり、この辺だ。
玲子 階段を下りてくる
健三 うわっいかん!
健三 慌てて椅子を片づけ居間へと戻る