琴美 不満そうに
琴美 何で?
健三 いいか?もしこの瓶にまだウニが入っているとしたらどうだ?
琴美 そりゃ、もう食べられないでしょうねぇ。
健三 だろ?
琴美 3ヶ月・・・下手すると半年以上かも・・。
健三 そうなんだよ。そうすると、中身は既に食品の中でも上位ランクに位置づけられていた頃の面影は消え失せ、ただの腐った臓物と化している可能性が高い。
琴美 でしょうね。
健三 往々にして、そういった代物はかなりの異臭を放つものだ。
琴美 うん。
健三 そんなものの臭いを嗅いで、ショックで心臓が止まっちまったらどうするんだよ!
琴美 おじいちゃんは十分に生きた。
健三 そんなチャレンジを犯すくらいなら、琴美がやった方が、若いんだしリスクが低いだろ?
琴美 仮定の話をしているわけだから、ショックで心臓が止まるとしたらどっちの方が良いか?って方が正当じゃない?
健三 もう、そんなコト言ってる間に玲子さん帰ってきちゃうだろ?ほれ!
健三 瓶を琴美に渡す
琴美 しょうがないなあ・・・。
琴美 渋々瓶の蓋に手をかける
琴美 おじいちゃん。
健三 何だ?遺言か?
琴美 死ぬこと前提で話を進めないで。
健三 違うのか・・・。
琴美 なんで、不満そうなのよ。そうじゃなくて蓋を開けようとすると両手が塞がっちゃうでしょ?
健三 だから何だ?
琴美 鼻。
健三 鼻?
琴美 鼻つまんで。
健三 おお、頭いいな。任せとけ。
琴美 お願いね。私の命はおじいちゃんに預けるわ。
健三 琴美・・・。・・・すまん、俺が、俺が不甲斐ないばっかりに・・・。
琴美 いいのよ。それに、今こうしてみて分かったけど、この瓶の蓋・・・あなたの握力では少々心許ないわ。
健三 隊長ーーーっっっ!!!
琴美 手に力を入れる
琴美 さあ、行くわよ!