健三、琴美 顔を見合わせる 瓶の中にはお金が入っている
健三 ・・・お金??
琴美 食べ物じゃないじゃん。
健三 ・・・そうだな。
琴美 な~んだ。
健三 すまん・・・。
琴美 ・・・どうしよっか、これ。
健三 そうだな・・・困ったな。
琴美 もらっちゃう?
健三 すぐばれるだろ。
琴美 表には出てこないお金だよ?ばれても言えないって!
健三 まずいって、それは。
琴美 ・・・だよねえ、戻しとこっか。
健三 そうしよう。・・・しかし、考えたな。
琴美 何が?
健三 賞味期限をはるかに越えたウニの瓶詰めだろ?絶対開けたくない。
琴美 確かに。たとえ気付いても、開けずに聞くよね「アレ何?」って。
健三 な。
琴美 また蓋を閉めて瓶を元の場所に戻す
冷蔵庫のドアを閉めたところで、玄関のドアが開く気配がする。
健三 いかん、帰ってきた!
二人走って居間に戻ろうとするが、途中で躓いて転ぶ
そこへ玲子入ってくる
玲子 二人とも何してるの?
琴美 い、いや~そろそろ夏じゃない?泳ぎ方忘れてないかの確認を・・・。
玲子 また?
琴美 またって?
健三 ・・・忘れちゃって。
玲子 そうですか・・・。
玲子 買い物袋を開けながら
玲子 丼と重どっちがいいんですか?
琴美 何の話?
玲子 うなぎ。
琴美 うなぎ?
玲子 うなぎが食べたいんでしょ?
健三 あ、鰻重がいいかな。
玲子 はい。
健三 肘で琴美を突く
琴美 ごめん、忘れてた。
玲子 料理を始める
琴美と健三 玲子に聞こえないように
琴美 どうする?
健三 とりあえず知らんぷりしとこう。
琴美 そうだね。