玄関の戸が開く気配がする
琴美 あ!
健三 帰ってきた?
二人立ち上がる
健夫が入ってくる
健夫 た、ただいま・・・。
琴美 なんだ、お父さんか・・・。
健三 (ため息)
健夫 なんだよ。俺、何かしたか?
琴美 ・・・もういいよ。
健夫 だから、何だって!
琴美 いいって言ってるでしょ!
健夫 なんで怒ってるんだよ・・・。親父、なんかあったのか?
健三 (ため息)
健夫 もう・・・何なんだよ!
琴美 今日は、何で遅かったの?
健夫 仕事だよ。
琴美 どうだか・・・。
健夫 何で、そんなに突っかかるんだよ!朝、寝坊したから、残業してきたんだよ!
琴美 健夫の携帯を取り出す
琴美 このメグミって誰?
健夫 何、勝手に俺の携帯見てるんだよ!
琴美 忘れてくのが悪いんでしょ?いいから、誰なの?この人は?
健夫 それは飲み屋の女の子だよ!
琴美 何で、飲めもしないのにそんなトコに行ってるの?
健夫 付き合いってモンがあるだろうよ!なんで、お前にそんなコト言わなきゃならないんだよ!
琴美 付き合いで使う程度のお店の女の子から、なんでこうも毎日のようにメールが来るんですか?!
健夫 いつも最後はその店なんだからしょうがないだろ?だから、なんで、こんなコトお前に言い訳しなきゃならないんだよ!
琴美 じゃあ、誰にだったら言わなきゃならないの?
健夫 は?
琴美 その、言わなきゃならない人にちゃんと説明はしてあるの?
健夫 ・・・
琴美 そんなコトしてるから・・・
健夫 何だよ・・・。
黙っていた健三 座りながら
健三 玲子さんがいなくなった・・・。