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テーマ:連載戯曲(216)
カテゴリ:ティアーズマーク
健夫 健三の方を向き直り
健夫 いなくなった・・・?どういうコトだ! 琴美 おじいちゃんと病院に行った帰りに、いなくなっちゃったのよ! 健夫 何で・・・。 琴美 お父さんが悪いんだよ! 健夫 何で、俺が・・・。 琴美 お母さんのコト大事にしないからだよ!毎晩毎晩、遅く帰ってきて、何してるのかと思えば、飲みに行って女の子と楽しく遊んでたんでしょ! 健夫 ・・・ 健三 俺が悪いんだよ、俺が・・・もっとしっかりしてれば・・・。 琴美 おじいちゃんは、悪くないって言ってるでしょ! 健三 だが・・・。 健夫 何だよ、それ・・・大事にするってなんだ? 琴美 何? 健夫 早く帰ってくるのが、大事にするってコトなのか?部下の悩みも聞かないで、家で愚痴ばっかり言ってるのが、大事にするってことなのか? 琴美 健夫を見つめたまま、黙り込む 健夫 俺は、そんなのもうたくさんなんだ・・・。親父は帰ってくれば仕事や会社の不満ばかり、お袋は親父の悪口ばかり・・・だから、家では仕事のコトは持ち込まない様に、飲めない酒まで飲みに行って・・・それが、いけなかったって言うのか!? 健三 健夫・・・。 琴美 ・・・お母さんは・・・お母さんは、そんなお父さんの気持ち分かってたの? 健夫 ・・・多分。 琴美 多分って何よ。なんで、話さないの? 健夫 何を話す?俺はこんなに頑張ってるんだ。お前達のために、こんな嫌なこともやってるんだって言うのか? 琴美 ・・・それは・・・。 健三 いや、玲子さんは分かってたと思うよ。 健夫 ・・・親父に何が分かるっていうんだよ。 健三 身体が言うこと聞かなくなった母さんの面倒を看てくれて、最期まで看取ってくれた・・・。あれは間違いなく健夫のコトを愛していたからだよ。そうじゃなければ、あんなこと出来ない・・・。確かに俺と母さんは愛し合ってはいなかった・・・ただ、世間体が悪いとか、別れたからって何をするってこともない・・・だから、ただ一緒にいただけだ。・・・だから、俺は母さんの面倒をみれなかった・・・。 琴美 じゃあ、なんで、お母さんは帰ってこないの? 健三 それは・・・。 琴美 遅いんだよ、いなくなってから、いくら思ってるコト言ったって、もう遅いんだよ! 3人黙り込む お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 24, 2007 01:42:34 AM
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