健夫 茶箪笥を開ける
健夫 ほら、あったぞ。
玲子 あら、そんなトコに?
健夫 ああ。今日は病院に行ったりして疲れたろ?ちょっと休むか?
玲子 ええ。
健夫 じゃあ、行こうか。
健夫 健三、琴美の方を向き
健夫 ちょっと寝かせてくる。
健夫、玲子 寝室に向かう
琴美 これからどうなっちゃうんだろ・・・。
健三 そうだな・・・。
琴美 なんで?なんでこんなコトになっちゃったんだろ?
健三 ・・・仕方ないさ・・・。
琴美 仕方ない?そんな風に思えないよ。だって昨日までは、別にいつも通りだったじゃない!
健三 いつも通りに見えていても、いつも通りじゃなかったんだよ・・・。いや、いつも通りだと思いこんでいたんだな・・・。今日とは違う明日なんて、疑いもしなかったんだ・・・。
琴美 うん・・・。
2人ため息をつく
琴美 どうするの?お父さんは、あんなだから頼りにならないし・・・今はまだ良いとしても・・・。
健三 そうだな・・・。介護施設とか・・・か・・・。
琴美 施設・・・。
健夫 戻ってくる
琴美 おとうさん。
健夫 ああ、大丈夫だ。
琴美 これから、どうするの?
健夫 ああ、そうだな・・・。
琴美 やっぱり、施設・・・?
健夫 いや、施設は難しいらしい。
琴美 え?
健夫 若いと力が強いだろ?結構病気が進んでくると、徘徊とかが出てくるらしいんだが、それを止められないんだそうだ・・・ま、女だからな、看てくれるトコも探せばあると思うけど・・・。
健三 しかし、まさかな・・・玲子さんが・・・。
健夫 まあな。
琴美 ・・・お父さんさあ・・・。
健夫 あ?
琴美 さっきから、なんか軽いっていうか、実感がない感じがするんだけど・・。
健夫 まあ、そうかもな。あいつはいつでも元気で、いつでもそこにいるのが普通だって思ってたからな。
そう言って健夫 台所の方を見る