健介、妻 自宅 リビングで座っている
いつものようにワインを飲みながら
妻 で?どうだったの?
健介 ん?うーん・・・。
妻 何?
健介 いや、まあまあ・・・かな。
妻 ふーん。それで、結局どんな夢を見たの?
健介 なんだか、ヒーローもの。
妻 ヒーローもの?また、何で?
健介 いや、結局、夢を決められなくてさ。他の人はどんなのが多いの?って聞いたら俺くらいの年齢だとヒーローものが多いって言われて・・・。
妻 そうなの?
健介 ああ。なんだか、子供の頃描いていた自分の姿とのギャップに苦しんでるコトが多いんだってさ。
妻 苦しんでるの?
健介 いや、全く自覚はないけど。
妻 じゃあ、駄目だったんじゃないの?
健介 ん~・・・そうでもない、かな?
妻 そうなの?
健介 ああ、だから、まあまあ。
妻 へー・・・。あなたのヒーローなんて想像できない。
健介 だよな・・・。俺も想像できない。
妻 でも、なったんでしょ?
健介 ああ、なった。
妻 どんなだったの?
健介 ん~サラリーマン。
妻 全然、ヒーローじゃない。
健介 うん、確かに。
妻 それが、どんなヒーローになるの?
健介 なんて言ったらいいのかなあ・・・ま、みんなの幸せを願う・・・のかな?
妻 それってやっぱりヒーローじゃない!
妻 少し声を荒げる
健介 なんだ?そんなに俺のヒーローに興味があるのか?
妻 あるわよ。だって、全く全然ちっとも想像できないんだもん。
健介 そんなにか?
妻 え?
健介 そんなに想像できないか?
妻 え??
健介 俺のヒーロー・・・。
妻 まあ・・・で、変身するとどんな風になるの?
健介 変身?しないよ。
妻 変身しないでどうするの!?
健介 いや、そのままスーツで闘ったけど・・・。
妻 もう分かってない!何にも!
健介 何が?
妻 いい?あなたは変身は何の為にすると思ってる?
健介 そりゃ、強くなるためだろ?
妻 違う。
健介 え?違うの?
妻 違うよ、全然違う。
健介 どういうコトだよ。
妻 あのさあ、もし普通の人間がどんなに頑張っても太刀打ち出来ないほどの強さを持った人がいるとするでしょ?
健介 ああ。
妻 最初は、確かに助けられた人もいるわけだし、みんな受け入れてくれると思うよ。でもね・・・。
健介 何かを思い出したように顔を上げ
健介 強すぎる力は・・・・
妻 そう。
健介 それで・・・。
妻 だから変身になくちゃならないの。普通の人間との生活をするためには変身せざるを得ないの。分かった?
健介 ああ。
妻 もう、変身しないでヒーローだなんて・・・そんなのヒーローじゃない!!
健介 すまん・・・。
妻 ん?でもまたチャンスはあるのよね?じゃあ次はちゃんと変身してね。
健介 いやあ・・・
妻 何?
健介 多分、もうヒーローはいいかな・・・?
妻 なんで?
健介 なんて、言うのかなあ・・・普段の延長線なんだよね・・・
妻 ん?
健介 困ってる人、助けるだけだもん。変身もないし。
妻 じゃあ、スカッ!としなかったの?
健介 しないよ。夢の中でも悩んでばかりで・・・。
妻 そっか・・・。見たかったな、ヒーロー。
健介 すいませんね。全くヒーローっぽくなくて。
妻 すねない、すねない。だから言ったでしょ?ヒーローだったら普通の生活は出来ないって。
健介 ・・・
妻 もう・・じゃあどうするの?
健介 何が?
妻 次から、何の夢見るの?
健介 あ~それ?
妻 何?もう決まってるの?
健介 ああ。
妻 何?
健介 教えない。
妻 何で?
健介 ワインのボトルを持ち妻のグラスに注ぐ
健介 まあ、いいじゃない。別に。
妻 あー隠し事だ。
健介 別に隠してないよ。
妻 隠してるじゃない。
健介 隠してないって。
妻 じゃあ教えてよ。
健介 えっと・・・物凄く現実離れしてて、物凄くスカッとすることを思い出したんだよ。
妻 だから、教えてって・・・思い出した?
健介 ああ。
妻 思い出したってコトは前にやったことがあるの?
健介 ああ。
妻 ・・・私は?
健介 おまえがスカッとしたかどうかは分からないけど。
妻 私もいたの?
健介 ああ。
妻 何?それ。
健介 なんだろうねえ・・・。当ててみな?
妻 え~教えてくれないの?
健介 嫌だよ、恥ずかしい。
妻 恥ずかしい?恥ずかしいことなの?
健介 恥ずかしいよ、そりゃ。
妻 え~!!!
健介 何だよ?
妻 やっぱり、アレ?
健介 それは、違うって結論になったろ?それにアレなら別に・・・夢にわざわざ見なくたって・・なあ?
妻 ヤラシイ・・・。
健介 おまえが言ったんだろ!?
妻 もう・・・何なの?
健介 いいじゃん、別に。それにほら?俺だっておまえがスポーツクラブ通ってるの知らなかった訳だしさ。
妻 今は知ってるでしょ?
健介 今は知ってるけど、ずっと知らなかったんだから。
妻 だから?
健介 だから、ちょっとの間だけ秘密にさせといて。
妻 え~!!
健介 少しくらいの秘密は必要だよ?全部が分かってたら発見が無くて面白くない。
妻 ん・・・・分かった。でもちゃんと教えてよ。
健介 ああ。そのうちな。
妻 そのうち・・・か。
健介 何?
妻 ううん。なんでもない。
妻 健介のグラスにワインを注ぐ
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